アハウスディヴァイデッドをどう評価するか?

bqsfgame2006-10-08

久しぶりにプレイしたが、最近「フォーザピープル2006」をやっていることもあって、気になる点も多かった。
1)プレイしやすく面白くゲームとしては優れている
2)南北戦争のゲームとしては指揮官要素がないのは大いに物足りない、GDW版では上級選択ルールまで進むと指揮官があるが実際に入れるとリーが強いために南軍がサドンデスで勝ってしまう。グラントが出てくるところまでゲームが進まなかったと記憶している。
3)南北戦争の前半戦(63年くらいまで)では兵站要素は重要だったと思うが、その部分が軽視されているように思う。
4)政治・経済の要素は大きな勝利条件と補充ルールでしかカバーされておらず、カードドリブンで多様なカードによるイベント表現がされているFTPとは比べようもない(出版年代を考えれば止むを得ない)
5)海上作戦が極端に単純化されランダムであると同時に制約がなさすぎる印象を受ける

特に評価が難しい点

亡くなられたKOSさんがNAWを非常に厳しく評していたのと同じ問題が本作にはあると思う。つまり、「シミュレーションとして妥当でない」部分が多いのに、「ゲームとして面白い」ために、「多くの人にプレイされ結果として誤った印象を多くの人に植え付けてしまう」懸念を感じる。
また、FTPが慣れてくると思っていたより短時間でプレイできそうで、また単年度シナリオであれば「アハウスディヴァイデッド」と同じ時間でプレイできてしまうことを考えると、果たして今なお「アハウスディヴァイデッド」をプレイするゲームとして選択する意義があるかどうかは以前よりも難しくなった気がする。
もう一つ言えばGMTが2−3時間で全体が終わる南北戦争カードドリブンをデザイン中であり、これが上手く仕上がれば本当に「アハウスディヴァイデッド」の存在意義は最終的に失われることになるかも知れない。
http://www.gmtgames.com/nnprice/main.html
その一方で本作がなければ、自分は南北戦争ゲーマーにはなっていなかったろうと思う。自分史的には一つの時代を担った転換点となったゲームではある。すっきりと傑作と呼べるゲームが今一つ見つけられないチャドウィック作品の中では間違いなくベストであったことも事実だと思う。
複雑な思いで語らねばならない往年の傑作である。