○死神と二剣士を読む

bqsfgame2005-04-09

ファファード&グレイマウザーの2巻。
1巻よりずっと面白い。2巻は初期作品が多いということで、単純なストーリー、短めの作品、独創的な怪異が特徴。特に面白かったのは「森の中の宝石」の生きた構造物としてのトラップ、「珍異の市」の魅惑的な展示物で人を惑わす蜘蛛たち。「夜の鉤爪」の怪鳥たちの盗みや、「七人の黒い僧侶」の大魔王ゴースンを思わせる人面の岩石も蟲惑的。
逆にシリーズ全体を歴史順に並べたときにエピソードの繋がりを付けるために書かれた「円環の呪い」や、「痛みどめの対価」は、今ひとつだと思った。
好みはあるだろうが、個人的にはこのシリーズの魅力は次々に登場する怪異であって、シリーズ全体としての整合性や、この世界の構造や歴史展開ではないように思う。そうだとすれば、無理してストーリーの整合性を取るような必要はなかったのではないかという気がする。長きに渡って断続的に書かれたシリーズなので、多少の矛盾や、繋がらないところがあっても良く、タッチの差異もあっても良しとして読むべきところなのだろう。