○株の勝ち方はすべて外国人投資家が教えてくれるを読む

bqsfgame2006-08-15

基本的に最近本屋に氾濫している「こうすれば儲かる」、「あなたも乗らないと損をする」的な書籍は信用しないことにしている。この本も副題が「どんな相場でもしっかり儲ける法」などとなっていて、いかにも怪しい‥(^_^;
ただ、それでも手にとって読んでみたのは、自分の勤務先の会社の雰囲気などから感じる景況感と日経平均株価の動き方にギャップを感じることが近年は非常に多いから。その意味で株式市場は日本の雰囲気とは違う次元で動いているという気がする。その原動力が外国人投資家の存在である‥とするのが本書のスタンスだというので読んでみた。
大きく分けて本書のメッセージは3つ。
1)大きなトレンドを見極めて、そのトレンドに合った投資行動を取ることを進めている
2)外国人投資家がいかに影響力を持っているか、彼らはどんな基準で投資行動を取っているか、それに対応するにはどうすべきかを示している
3)具体的な投資行動の取り方のガイドラインを示している
基本的には2の部分の最初の2センテンスに関心を持って手に取ったのだが、全体の思想が一貫していて非常に良心的な印象を受け他の部分も興味深く読めた。
1については、人はどうしても自分の勝利体験に酔いやすく環境の変化があってもなかなか自分の勝利の方程式を変えることができない‥という心理学を戒める意味で投資に関係なく強くいつも自省しておくべきことだと思う。企業のトップで一時代を築いた人でも、なまじ成功体験が大きいだけに次の時代に適応し損ねたり裸の王様になってしまったりしている人が多いように思う。
2は非常に面白い。本来、「VERTIGO」のようなゲームをプレイすれば痛感していたはずのことなのだが、国家ごとに全局としては同じ状況を違う視点で見て違う行動を取るのは言われてみれば当然のこと。グローバル化、オンライン同時化がこれだけ進んだときに、日本の雰囲気で日本の株式市場が動く‥ということ自体がアウトオブデイトな考え方だったのだなと思う。近年の不思議がいろいろと解けた気がする。
3は良い意味で笑ってしまった。本書の副題を読んだ人は、どんな相場でも儲けられる方法を探して手に取る人が多いと思うのだが、それに対する答えとして「勝負に出るのは上昇トレンドのとき」と三回繰り返すメッセージには、怒り出す人も多いのではないだろうか‥(^_^; ただ、逆に株式書籍としては珍しいほどに良心的なアドヴァイスが並んでいて、株は余剰資金でやるもの、勝負に出るのは上昇相場でやること、日経平均がドン底の7600円から2倍以上になった近年の成功手法の多くはこの上昇トレンドの追い風を受けたもので、同じ手法がこの先も通じるという保証はないことなどが指摘されている。具体的な行動指針となると、今は大きな上昇トレンドが一段落付いたところだから、次の上昇トレンドの前兆を見極めるまでホールドするべきだ‥という風に読み解ける。これは副題とはかなりギャップあるだろう。もっとも下降トレンドでの行動指針などもあるので、全くのミスリーディングタイトルという訳でもないのだが。
いかにも売れ線を狙ったようなタイトル、特に副題はいただけないが、内容的には良心的でなかなか良かったと思う。