×解放されたフランケンシュタインを読む

bqsfgame2010-11-21

オールディスの未読作品を読むのは、「マラキアタペストリ」以来だろうか。
日記を検索すると、丁度、5年前のことになる。
http://d.hatena.ne.jp/bqsfgame/20051118
おっと、その後に「暗い光年」を読んでいたのであった。
本書は、「フランケンシュタイン」をSFの起源と主張したオールディスの本歌取りであり、当時、かなりの話題作であった。そんなこともあって期待していたのだが、正直に言えば期待するほどのものではなかった。
読みやすいので海外SFノベルズの170ページ(文庫本であれば350ページくらい)と言う普通の長さの長編はすっきりと数日で読み終えることができた。
その意味では読書はスピード感があったのだが、そのスピード感をもってしてもドラマチックさを演出することはできなかった。
設定こそ説明に値するが、物語の粗筋としては中身が薄い作品だと思う。エンディングは原作へのオマージュなので原作への思い入れがない当方は作者に置いていかれるばかりだった。
それでも、これだけ中身の薄い物語を、長編に書き上げてしまう力技は「マラキアタペストリ」もそうだが、オールディス独特ではあろう。