☆乱紋を読む

bqsfgame2011-08-11

篤姫以来、大河ドラマを割ときちんと見ていた。
しかし、今年の「江」は、いろいろと納得の行かないことが多く、脱落してしまった。
あまりに納得が行かないので、お江を描いたちゃんとした歴史小説を読もうと思って、乱紋を図書館で借りてきた。740ページの超大作とは知らなかった。
こちらのお江は、二人のデキる姉にいじめられる鈍い末娘。まるでシンデレラのようだ。姉妹仲は必ずしも決定的に悪いわけでもないのだが、決して良くはない。茶々は気が強く他人の視点で物を考えられない人物として描かれており、初は夫ともども要領よく立ち回ろうとする小賢しくて人好きのしない人物として描かれている。
視点人物は鈍いお江を外から見る必要があり、側に仕えるおちかになっている。そして、運命が決定的な場面でお江に都合よく回ることの説明と、お江がいない場所の情報を的確にもたらす都合で、謎の人物ちくぜんと言うのが登場する。そうした都合で、かなりフィクション色が強く、これはこれでSFみたいだ。
しかし、少女に過ぎない江が信長や光秀と渡り合ったりするようなことはなく、佐治一成との最初の結婚から物語は始まり、大阪の陣で茶々が滅びる辺りで終る。
三人の夫の中では佐治一成が非常に魅力的に描かれており正にSF的な結末を迎える。秀勝はマザコン、秀忠はファザコンで、結婚する度に夫はダメ人間になっていくのだが、お江の権力範囲は大きくなり、ついには天下人の側室として大阪城を統べた茶々を越えていく。
大作ではあるが読みやすく読み応えもあり、さすがの永井路子作品と言う印象だった。これを読むと、多少、興味が戻ってTVの「江」を久しぶりに見たのだが、依然として納得が行かなかった。
上野は綺麗だし気が強くて魅力的だが、史実に比較して余りに活躍し過ぎで、いかにも大河ドラマにするためにエピソードを作り過ぎと言う印象が強い。早く来年にならないかなぁ‥(^_^;