○ハイブリッドチャイルドを読む

bqsfgame2012-12-07

1993年のハヤカワ文庫版です。
ヴィーナスシティ同様に長年本棚で燻っていました。
所収の短編「アクアプラネット」は、90年の星雲賞短編賞。
まとまった連作長編としての「ハイブリッドチャイルド」は、91年の星雲賞長編賞を受賞しました。
大原まり子の未来史の中でも重要な部分を担う代表作品です。
アディアプトロン戦争での800年後の敗北を知って生まれてきた神官が、劣勢を打開するために作ったサンプルB群の一体が脱走。脱走したB3の視点、神官側の視点からパラレルに描いたチェイサーでもあり、また宇宙大戦争の改変された結末を描く大叙事詩でもあります。
ところどころに出てくる大原未来史の定番である残虐シーンは、個人的には読むに耐えないと思います。それを除けば大原先生の代表作と呼ぶにふさわしい大作で、見事に書き上げられていると思います。
大原まり子は97年くらいまでは非常にアクティブに執筆していたと思うのですが、最近はどうしているのでしょうか?