☆第二の接触を読む

bqsfgame2013-04-18

マイク・レズニックの1990年の作品。
ハイスピード・ハードボイルドの傑作と言って良いと思う。と言っても筆者はハードボイルドが苦手なので読まないから割り引いてもらった方が良いかも知れない。
オープニングはSF法廷ミステリー風。宇宙船の中で二人の部下を射殺した船長の弁護を命じられた主人公の敏腕弁護士。で、被告に接見すると、とんでもないことを言い始める。信じたわけではないが、それを調べ始めると次々に不可解な事実に遭遇し命まで狙われるように。後は一気呵成に結末まで走り続ける。
SF法廷ミステリーと言うとソウヤーのイリーガルエイリアンを思い出すが、それとは全然違って主人公が逃げ回る部分がほとんどを占めている。
レズニックらしさは全然と言って良いほどなく、アフリカ、善悪価値の判断の難しさ、人間の残酷さと言ったテーマでは、強いて言えば人間の残酷さが描かれるくらい。と言ってもハードボイルドの展開上、冷酷無比な殺し屋に追われるのはお約束なのでそんなにテーマになっている訳でもない。
その意味では期待していた路線とは随分と違ったのだが、導入から一気に最後まで読ませるエンターテイメント小説の構成力、執筆力と言う点ではさすがと言うしかない。どうして、この作者の本がもっと訳されないのかなぁ?