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bqsfgame2015-05-04

ボルヘスの幻獣辞典。
たまたま、ガンダムの「ア・バオ・ア・クー」要塞の語源を調べていて遭遇した。
伝承や創作に登場する怪獣、妖怪の類を収集した辞典で、版を重ねるにつれ追加を続けていると言う。作者はラテンアメリカ文学では大物の一人、ボルヘス
こういう類の本はいろいろあるのだが、残念ながら期待するほど面白くないのが常である。変な話しだが、ウルトラ怪獣図鑑などに敵わないように思う。
もちろん散発的に面白いものもあり、最初に出てくるア・バオ・ア・クゥーはその一つ。本書の最初の獣の名前を取って件のアニメも命名したであろうことは間違いあるまい。エイリアン通りの主人公が、ノースウェストスミスのシャンブローから来ているのと同じくらい自明な感じがする。
それ以外では、宝石泥棒やファイナルファンタジーで有名になったバハムート、その親戚筋のべへモス、マジックプレイヤー時代にはお世話になったバジリスクコカトリスケルベロスミノタウロスなど、どこかで見たことのあるものが多い。変な話しだが、その設定のバリエーションは意外に多様さに欠けており、自然の進化が提供した豊富な実際の動物群に比べると案外と面白くないと言うのが本当の所だ。この点については、作者も実際に本書をまとめた感想として感じていたらしい。