×忘れられた巨人を読む

bqsfgame2018-02-13

今年のノーベル賞作家、カズオイシグロの現時点での最新作です。図書館。
うーん、リーダビリティは悪くなく、終りまでちゃんと読みました。
小一時間で50ページくらいは読み進みます。で、読んだ直後に、さて何が書いてあったか思い出そうとすると思い出せません。
アーサー王伝説時代の直後のブリタニアが舞台です。老夫婦は村に住みにくくなり、息子の村へ行くことにします。地域には雌竜クエリグが住んでいて、その吐く煙を吸うと記憶を失ってしまいます。サクソン人の兵士ウィスタンは、雌竜を倒す使命を帯びて地域を旅しています。
一方、アーサー王の友人の一人、騎士ガウェインも同じ使命を帯びており、先取りされるのを嫌ってウィスタンと対立します。
で、まぁ読んでいる読者は、まるでクエリグに騙されているかのように読む端からストーリーを忘れてしまうという。意図的に、そうなるように書いているのだとすれば、ある意味、ものすごい技量です。
物語の結末では、ガウェインの真の目的は違っていることが判り、ウィスタンとの決着は付きます。そして、竜が倒されて記憶の霧が晴れていくと、老夫婦の忘れていた真実と向き合うことになります。
で、一定の決着が付くのですが、それで納得感があるかと言うと、なかなか微妙な読後感です。