○レディホークを読む

bqsfgame2018-03-27

1985年公開の映画のノヴェライゼーションです。
ジョーン・D・ヴィンジ。
「錫の兵隊」、「雪の女王」と言った童話を材に取った読み応えのある作品を物にした彼女ですから、典型的なファンタジー映画のノヴェライゼーションは適任。
実は、ネットサーフィンしていて、野田大元帥の訳業だと知って、急遽思い立って古本を買いました。
昼間は鷹の姿になる呪いを受けた女性と、夜は狼の姿になる呪いを受けた男性のラブストーリーです。二人に呪いをかけるよう命じた悪の大僧正に復讐し、呪いを解くと言う物語。
少し捻ってあるのは、視点人物がネズミと呼ばれる小悪党であること。
2時間の映画の内容は、正直に小説化すると100ページくらいにしかならないので、ヴィンジ得意の情景描写で水増しして一冊本に書き延ばしてある感じで、少々、薄味。もう少し護衛隊長だった男性と、以前の部下の関係など肉付けしても良かった気がします。
とは言え、ノヴェライゼーションとしては、カードの「アビス」とか、プリーストの「イグジステンズ」よりも出来は良いです。ノヴェライゼーションと言うのは、オリジナルを書くのとは別の技量があるのだと思わされました。
続編の思惑があったようですが、大僧正を討ち果たして呪いを解いてしまった後に、何をどうするつもりだったのでしょう?