図書館です。
タイトルですぐに「覇権アニメ」の続編だと判りますが、短編集です。
「音と声の冒険」
五條正臣
「運命戦線リデルライト」の音響監督。
王子が野野崎監督の「バタフライ」のエピソード監督だった頃からの古い付き合いで、王子が社会人として全然なっていなかった頃から知っているが故に、今の王子を「それでも成長したもの」と温かい目で見ることが貴重な人物。
バイオリンで音大に進んだが、自分よりうまい天才がたくさんいるのを見て挫折し、音に関わる仕事としてトウケイ動画に入って音響部門に進んだ。
香木原ユカ
「リデルライト」のコノカ役の声優。
「夜の底の太陽」
富田太陽
斎藤瞳の所に猫を引き取ってもらいに来た、あの太陽君。
今回の短編では、教育ママの指導で一人だけ他学区にある塾に通わされており、家では漫画もアニメも禁止されていて、そのため学友との共通の話題がなく孤立していたことが語られる。
爽平も純太も塾での他校の友人。
「ハケンじゃないアニメ」
和山和人
長寿こども向けアニメ「お江戸のニイ太」のプロデューサー。
長寿番組故にクールごとの覇権争いとは無縁の位置にあるアニメを支えるスタッフの一人である。
しかし、原作者には未だに名前を覚えてもらえず先輩の七神昇平に頼っている。だが、30周年の節目にオープニングの一新を提案し、その監督をまさかの斎藤瞳に引き受けてもらえることになった。
左近寺誠
「お江戸のニイ太」の原作者。今では自ら絵を描くことも稀だが、それでも新キャラの登場を成功させるなど、未だに実力は確かなものがある。
今回の新オープニングでは新しいカラー原画を和山から依頼され、その意義を七神を通してではなく和山から聞き出そうとする。
「次の現場へ」
迫水孝昭
前作冒頭で有科と気まずくなってしまったアニメーターであるが、本作では人気声優の美末杏樹を射止めて結婚する所から始まる。
川島香奈美
有科の下で働いていた頼りになる若手敏腕スタッフ。「リデルライト」の完成後にスタジオえっじを去っているが、披露宴に呼ばれて再会する。
赤羽環
脚本家、気の強い美人。
チヨダコーキ原作の新作アニメ映画「VTR」の脚本に呼ばれ、原作者愛の感じられない周囲に檄を飛ばして衝突する。
沢田和己
スタジオえっじのベテランアニメーター。典型的な関西乗りの軽薄風なのだが、実はデキる女、香奈美が師匠としたう存在であったりする。
前作では主要キャストでなかった人物にスポットライトを当てて、クールごとにメンバーが総入れ替えで組代わっていき敵味方がシャッフルされるアニメ業界を描き出しています。
それでいて、一作ごとに泣かせるツボを心得ているのが辻村深月の素晴らしい所です。