6月1日は、孫喆七段と上野亜咲美女流名人です。

孫七段の冒頭あいさつが奮っていて「上野さんは各棋戦で活躍していてお忙しいので、NHK杯では一回戦で負かせてあげてゆっくりしてもらおうと思います」とのこと。また、聞き手が奥さんではなくなったので振れてもらえないと思ったのか「今日も師匠からもらったスーツで頑張ります」と自分でアピールしていました。
解説者は大西研也六段。
大西君は小学校の頃から孫7段を知っているとのことで、囲碁に限らず地頭が良く、いつも感心していたとのことです。なるほど、そんな印象は受けます。
上野女流名人については、盤上の怪力と、普段の天真爛漫のギャップが魅力との指摘で、これもなるほどと思いました。
碁の方はオールラウンダーの孫七段がじわじわとリードしていき、一時期はAI評価でかなり圧倒しました。なので、楽勝かなと思いましたが、そこから意外に決定打に繋がらず最後まで作って半目きわどく勝ちました。
6月8日は、三谷哲也八段と高尾紳路九段です。

三谷八段は講座講師も勤めましたが、トーナメントは実に7年ぶり5度目の出場ということでレアキャラです。高尾先生も最近は成績が揮わないと挨拶されました。
で、調べると24年は平田君に一回戦負け。23年はシードでしたが、初戦で鈴木伸二八段とのシンジ対決に負け。22年がベスト8だったので、ここ2年は初戦負けですから、確かに高尾先生の実力を考えれば揮っていません。
しかし、今年は高尾先生らしい手厚い布石から中盤で優位に立って、4目半勝ちを収めて2回戦へ駒を勧めました。頑張れ、平成四天王。
解説は藤沢門の寺山六段でした。落ち着いた解説ぶりでしたが、碁の方が渋かったので解説者の大活躍とはいきませんでした。対局者として活躍して欲しいですね。
6月15日は、鶴山八段と、名古屋の小県正樹九段。

小県先生は今年の出場者最年長になられたそうです。60歳。
小県先生は2004年に名人戦リーグに初参加。その後、2008年に再参加して残留、合計3期リーグにいました。
自分の感覚的には、新しい人と思っていたのですが、初参加が40歳と遅かったのですね。
解説は、問題児の名古屋の下島八段。
それを聞いて観るのをやめようかとも思いましたが、小県先生のご挨拶を聞いて、小県先生の碁をNHKで見られるのは最後になるかもと思い、辛抱して終りまで見ました。
左辺で挟まれて孤立した黒が、左上の白地に綾を求めていき、小県先生がこれに強硬に対応したため、どちらかが死ぬのではという険しい局面に。結局、劫になって一時は大ピンチだった黒が左上の白地を破って生きる展開となり黒の優位がはっきりしました。
ここが碁のクライマックスで、あとは終局までずっと黒優勢でしたが、最後になって黒が少しやりすぎて薄くしましたが、白は惜しくも手にならず投了となりました。
この山のシード選手は富士田君で、次は鶴山対富士田という脂の乗った二人の対決となりました。
6月22日は、蘇陽国九段と、昨年大躍進した平田智也八段です。

解説は今年大躍進中の福岡航太郎七段です。
解説は初めてという福岡七段でしたが、かなり安全運転して丁寧な解説を心掛けられていて、これはこれで合格点でした。ただ、TV番組としては、もう少しエンターテインメントがあっても良いのかなと。そこは聞き手が上手く引き出して欲しい所ですが、安田さんには望むべくもない感じでした。
碁の方は蘇九段が非常に位の高い碁を志向し、右辺から中央に掛けての模様を張る展開。しかし、着々と白に傾いていくAI評価値。これについて福岡解説者は、「AIはしのぎに自信があって、模様は打ち込まれて荒らされてしまうという図が良く見えるので、模様を張ると評価が下がってしまうんですよ」と言っていたのが印象的でした。AIも割と厚い碁が好きだという印象の時代もあったのですが、今では逆だと考える人が大勢を占めるようになったのですね。
この山の隣のシード選手は許九段なので、平田君としては次が最初の山場となります。
6月は5回目がありました。

関西棋院の阿部五段と、藤沢女流本因坊です。阿部五段は3年ぶりで2回目の出場だそうです。藤沢に勝ったことがないという話しでした。その藤沢はインタビューでは気を使ったのか、「阿部五段はパワーがすごいので警戒しています」とコメント。
解説はお久しぶりの倉橋正行九段です。大阪撮りなのですね。
倉橋先生は阿部五段の院生師範だったそうです。聞き手の安田さんは阿部五段の妹弟子だそうで、阿部先生シフトの解説陣です。まぁ、視聴者のほとんどは藤沢応援団でしょうから、このくらいでバランスなのかも知れません。
碁の方は、白の藤沢が全局的に厚みをとって模様気味の展開に。
阿部五段が右辺の高く開いたツケ引き定石に打ちこんだ辺りから接触戦となりました。阿部五段のパワーがいつ炸裂するかと思ってみていましたが、むしろ藤沢棋聖の方が読みがしっかりしていて力強い感じで、黒は形勢を損じました。
止む無く左上から左辺、上辺へと広がる白模様に踏みこんでいくような逃げ方となり、いささか薄いなと思ってみていたら、藤沢の狙いすました天元への割り込みが炸裂して黒の大石は左右に分断されてしまいます。
まず左側が瀕死の状態になりながら、白の左辺も薄いのに綾を求めてなんとかしのぎ切ります。しかし、今度は右側が取られそうになり、いろいろ手を求めて、どうにか攻め合い模様に持ち込みましたが、最後はどう数えても攻め合い負けがはっきりした所で投了となりました。
解説者は半目の女王藤沢のヨセの力を紹介していましたが、そこまで辿り着くことなく快勝。見ていた印象としては、はっきりと藤沢の方が強かったように思います。
この山の隣のシード選手は一力棋聖・名人なので、非常に大変。とは言え、今の藤沢の実力なら簡単に負ける感じもしないので楽しみではあります。