アップフロントの限界

アップフロントの限界という点については、既に個別シナリオへの感想で断片的に書いてきたかと思うがまとめると。
●1個分隊対1個分隊の規模を扱うのに適した基本構造を持っており、カードプレイの基本システムもこの構造と密接に関連している。結果として、この規模を大きく越えるスケールへの展開が非常に難しい。
●歩兵対歩兵の戦闘を扱うのに適した距離設定や、そのコマンドコントロールの問題と密接に関連したカードプレイのジレンマを持っているので、強固な密閉式AFVのような存在を扱うのには無理がある。
ということではないかと思う。
その意味では「スコードリーダー」がシナリオ1から巨大なシナリオ5へと移ったときにシステムの可能性をポジティブに感じさせたのに対して、アップフロントでは最後のシナリオ「前哨線」をプレイしたときにむしろ限界を感じさせているように思う。
また、密閉式AFVについては、デザイナーも書いている通りで、歩兵側の対戦車能力を実際よりも過大に描いており、これでないとゲームにならないというのが実状だろう。
それでも戦車がどうして出てくるかと言うと、昨日の話しにある通り「営業的には」戦車の出てこない戦術級ゲームというのは成立しがたいからではないかと思う。その意味で、ジョン・ヒルという人は営業的に成立して、ゲーム的に面白くて、シミュレーションとしても斬新なところで切り出すことのできる稀有な才能の持ち主だったのだと思う。その成果が、「スコードリーダー」であり、「バトルフォースターリングラード」であり、「イースタンフロントタンクリーダー」なのだと思う。