☆投資戦略の発想法を読む(再読)

bqsfgame2006-05-03

発売された年に読んだのではないかと思うから5年ぶりか。ニュースステーションには良く出ていた木村剛さんの個人に宛てたフランクな投資戦略の入門書。入門書と言ってもテクニカルなことが書いてあるわけではなく、そもそも資産形成のために必要なことは何かと言う大前提から始まっている。
最近、銀行でも郵便局でも投資信託を売るとかいう話しで、かつて通ってきたバブルな幻想が随所で再現している気がする。なんとなく儲け話しがあちこちにあり、乗り遅れているのは貴方だけだみたいな圧力が掛かり、基本的なことを押さえずにテクニカルな話しや、人気投票みたいな要素だけが上滑りし始めているように思う。
本書では、個人の資産形成のメインエンジンは「本業の仕事できちんと稼ぐことと節約」と看破し、自分の資産・負債状況や、月々のキャッシュフロー(言い換えれば家計簿)も把握できない人間には投資など無理だと決め付ける。このわかりやすさが素晴らしいと思う。
その上で自己管理ができている人は、インフレリスクに備えた明解で換金性の高いポートフォリオを組んで中長期運用をして、短期の動向に一喜一憂することのないように説く。とかくフリーターや学生がデイトレーダー的に成功を収めたという話しばかりがヒーローストーリーのように扱われるが、短期では確率的に圧勝者も必ず生じる訳で、それを取り上げてあたかも誰もが成功でき、乗り遅れてはいけないかのような雰囲気を作るメディアはいかがなものかと思う。本書は現実的で足が地に付いたアドヴァイスで、5年を経ても説得力が増しこそすれ古びていないと思う。