○イグジステンズを読む

bqsfgame2006-11-20

此処のところ、ややハズレが多く口直しに短めで信頼できる打率の高い作家の作品ということでプリーストを引っ張り出してきた。
ただ、実はこの作品は映画のノヴェライゼーション。そうと知っていたら、カードの「アビス」で非常に失望させられた記憶があるのでそもそも買っていなかったかも知れない。
脊椎に直結するポート利用して遊ぶ多人数参加型共有体験ゲーム「イグジステンズ」の陰謀を巡る作品。内容は映画の扱いきれる範囲なので基本的には中篇くらいのコンテンツ。プリーストがいつもの急がない筆致で書いて280ページにしているが、本来、もっと短くまとまるべきかも。
現実崩壊感覚と最後のドンデン返しでPKDや、プリーストの第一長編「伝授者」などを思わせる。一応の合格点作品だと思う。ただ、個人的には「奇術師」などから比べるとプリーストとしては不満の残る出来。このへんがノヴェライゼーションとしての限界か?