特に熱い中盤戦

18FLは5株会社として創設できるので序盤戦は割と各プレイヤーがオーナー会社を自分のものとして成長させる鉄道家ゲームだと言える。此処で言う「鉄道家」ゲームという意味は、「投資家」ゲームとしての側面がほとんど感じられないということである。各プレイヤーは5株の内の3株を持って会社を創設、みな資金不足なので他人の会社の株を持ち合ったりするところまでは行かない。
ところが、これらの会社の線路が伸び始め車両が2両に増えていくと、オーナー会社なので内部留保せずにガンガン配当して配当収入と株価上昇含み益の両取りが進んでいく。結果として資金が十分になったところで、残された会社を創設して2社体制を組むための綾が険しくなってくる。今回は4人プレイ、会社は6つ。2社体制を組める二人と、残る二人とでは作戦の幅が違ってしまうので、みな多少の無理をしても2社目を取りにいく。
ところが、その直後からゲームは急に険しくなる。会社の数が増え、10株会社として建ち資金も車両制限も豊富な新会社が出てくると、あれよあれよという間に車両が売れて高騰してしまうのである。
その結果、期せずして車両を一時的に失ったり、あまり嬉しくない車両を買わされたりということが起こってきて、経営がおかしくなる会社が出てくる。また、増資が行われるが、プレイヤーの手元に資金が必ずしも十分にないと、増資した結果として手持株比率が下がり、配当収入が半減すると同時に、他のプレイヤーに会社を乗っ取られる余地が生まれる。このタイミングを睨んで、ショボい会社を見切って、他人の良い会社を乗っ取りに掛かるようなプレイがありえるので、コンパクトな18xxでありながら、筆者の当初の予想を裏切って会社を乗り換える作戦はあり得るし、実際に狙えるようになっている。此処が今回、初めて対戦でゲームを決着までプレイしてみるまで分らなかった18FLの素晴らしさである。
最初に途中までソロプレイした時には、淡々と自分の会社を育てるだけの鉄道家ゲームで、投資家ゲームとしての妙味はないかと思っていた。ところが、さにあらず。18FLは、立派に1830の血を継いだ投資家ゲームだった。
また、18FLが、1830や1889より優れている点として、配当金額を現在株価と比較して株価上昇率が変化するルールがある。このルールは、ショボくても配当さえ続けていれば株価上昇ができ、後発の優良会社に抜かれることがなかった1830の資本主義的なアンリアル事象を解消している。今回も実際に、筆者の2社目のプラントシステム社は、後発で遅れて登場したときの創設価格から一ランク下がった$80から最後は$360まで一気に駆け上がり、業界#2の存在になった。老舗の業界#1よりも中盤以降の株価上昇率は圧倒的で、これが逆転勝利の決定的な原動力となった。
序盤、中盤、終盤とゲームの雰囲気は大きく変化し、18xxとしては短いプレイタイムながら、鉄道興亡の妙味の全てがコンパクトにまとまっていると思った。
あまりに素晴らしかったので、思わずBGGの評価を3段階特進させてしまった‥(^o^)