ショートゲームレビュー:ターニング・ザ・テーブル

感想としては、「かなり面白い!」
面白さの源泉の一つはゲームシステムに、もう一つはシチュエーションにあると思う。
俗にTTTシステムと呼ばれ、現在はGMTに移ってシュヴァープンクトシステムと呼ばれているシステムは、基本的には1ターンを両軍それぞれ3フェイズずつ合計6フェイズに分割してプレイするらしい(他作品を見ていないため推測含む)。各軍は、この3フェイズに、そのターンに与えられたC3Iポイントを割振る。このポイント配分の結果、そのフェイズに移動を実行できるユニット数、戦闘を仕掛けられる攻撃数が決まってくる。各フェイズのシークエンスは単純な移動/戦闘だが、この制限があるマルチフェイズのため、焦点となる戦場では3フェイズに渡ってフルに活動が展開される一方で、他の戦場では移動も戦闘もほとんど起きないということが起こってくる。戦術級ゲームでは、「ファイアーチーム」などを初め90年代にかなり一般的になったシステムの作戦級への展開である。
もう一つ面白い要素として、戦闘の時に両軍の参加ユニット中で最高の練度を持つユニットを比較して、戦術優勢を求めることである。両軍は自軍の練度の数の戦術チットを引き、その中から優勢な側は合計3個、互角なら2個、劣勢なら1個のチットを使うことができる。チットの内容は、自軍戦力2倍とか、ダイス修整+3とか、敵損害+1とか言う具合になっていて、戦闘結果をかなりドラマチックに装飾する。これを毎戦闘ごとにプレイするので、かなり強烈な印象を与える。面白いのだが、ともすればマンガチックな印象もなくはない。
シチュエーションの面白さは、第二次ハリコフ戦自体の面白さである。ハリコフ戦と言うと、第三次ハリコフ戦のマンシュタインの後手からの一撃が有名だが、第二次ハリコフ戦のフォン・ボックの後手からの一撃も強烈。1941年冬の反攻で自信を持ちかけていたソビエト軍の心胆を寒くする強烈な反撃の成功が盤上で再現され得る。
というような訳で、プレイしていなかったのだが、これは掘出物だったと認識を改めた。次号のヴェリキエ・ルキもますます楽しみである‥(^o^)