VIアゲインストローマ:ハンニバルをソロプレイする

bqsfgame2007-08-23

懸案のVIアゲインストローマのハンニバルシナリオを最初の2年分(2ターン、8フェイズ)だけプレイした。
プレイしてみて結構イメージと違うところがあったので順に書いて行きたい。
1:第二次ポエニ戦争イタリア半島だけのマップでやるということ
VIアゲインストローマはポイントトゥポイント式のマップでイタリア半島のみを描いている。これだけで第二次ポエニ戦争をやるのだが、実はハンニバルシナリオでは非常に抽象的だが、スペインとシシリーのトラックが存在する。両軍は冬にどの程度の人材を送り込んでいるかをダイス修整にして、それぞれのトラックで1ダイスを振り、それぞれの支配権がどちらに傾いていきつつあるかを判定する。これによってイタリア半島だけのマップではあるが、一応、第二次ポエニ戦争らしい体裁を保っている。
2:古代戦において戦闘をするということ
これが強烈。インターセプトがダイス次第というのは古代戦では当たり前なのだが、普通の移動で敵のいるマスで移動を終了してもダイスを振って戦闘が本格的に起こったかどうかを判定するようになっている。その結果、損害を無視できるような小競り合いしか起きなかった‥ということで効果なしという結果が1/3くらいの確率で起きる。一年を春夏秋の3フェイズ行動するゲームなのだが、主力部隊が年に2回くらいコレをやってしまうと、その年はほとんど何も起きなかった‥ということがあり得る。パックスロマーナもそうだが、古代戦においては軍全体の総意として決戦を欲しても、実際にそれが発生させられるかどうかはかなりの確率で不確定だと言う解釈が此処にもある。
3:3Wの当時のゲームの完成度
この時期の3Wのボックスゲームの完成度は、雑誌の付録ゲーム並みというのが定説だと思うが、本作も例外に漏れない。包囲戦のルールは、戦闘手順の部分と、それに利用する戦略チットのところで、どうもバージョンの違うシステムに基づいてそれぞれ記述されているかのような齟齬を感じる。シナリオ特別ルールの説明も雑で細かいところが不明確だ。もっとも最近のGMTも初版をパブリッシュして、みんなでやってもらって完成させているようなところもあるので、AHが業界基準だった時代の感覚で議論をしても意味はないかも知れない。
4:ゲームとしてシミュレーションとして
実は結構、此処が中途半端でポジションがはっきりしない気がしてきた。ゲームとしては、上述の2の部分が結構に大味で、運任せなところがあってプレイヤーの意思を反映して競技をするということが難しいと思う。シミュレーションとしてもなんとなくアバウトな感じがある。
その意味では、近年、共和制ローマはゲームが増えており、RRR、SOR、カルターゲ、GBOHシリーズ、それに古くなってしまうがAHのハンニバルなどを並べると、敢えて入手困難な本作を手に入れてプレイする意義はそれほどない気がする。
サムニテ戦争とターラント戦争であれば、イタリア全体の図を見たければSOR、ディティールならRRRがあれば良いような気がする。第二次ポエニ戦争ハンニバルであり、個々の会戦ならGBOHが決定版だろう。
本作の凄いところは、6つの外敵とのローマの様々な戦いを同じパッケージにセットしてしまったというパッケージングの妙味に尽きている気がする。ルールは正味7ページ+シナリオ特別ルールが個別に1〜2ページというところで、手軽にプレイできるのも良いだろう。ただ、このゲームをどうしてもやらなければと思わせる部分はない。
個人的にはそのことを自分の目で確かめられたことに意義があったと思う。