1826で資本コストを考える

再三の繰り返しになるが、1826の大きな特徴として企業の資金調達の方法に、増資による資金調達と、有利子負債による資金調達の二つが揃っていることが挙げられる。
この二つが揃っていると、資本コストの違いという概念がきちんと語れるようになる。実際のゲームシチュエーションによる変数が多いので、実際のプレイの現場ではその都度、考える必要がある。しかし、大雑把な話しとして、例えば株価が120の会社で、資金500程度を調達しようとした場合、
1)増資による資金調達では、120の株を4株分市場に売却して480の資金を得られる
2)500の有利子負債を実行することで、500の資金を得られる
これに対するコストとしては、
1)4株分に対応する配当が市場(銀行)に流出する。例えば、この会社の収入が600だとすれば、1株の配当は60であるから、240の配当が市場流出してしまう。
2)500の有利子負債に対しては、10%の金利で50の利子支払いが発生する。
つまり、ファイナンスのテキストにある通り、有利子負債の方が資本コストが低いという結論になっている。
多くのゲーマーのセンスとしては、10%の金利を毎ターン支払わされる有利子負債が手痛く感じるのではないかと思うが、冷静に考えると有利子負債の方がはるかに有利なのだ。
この事実がきちんと認識できているプレイヤーに掛かると、積極的に有利子負債を借り出して設備投資を積極的に行うプレイが登場する。実際、今回のプレイでも1826経験者のHさんが、自分の運営する複数の会社間で車両を転売することで、資金も車両もない状態の会社を作り出し、これにより有利子負債を借り出す条件を成立させるプレイをしていた。これにより最新鋭車両を調達したら、次には借り出した資金の残余で一旦転売した車両を買い戻せば、優秀な車両を2両持っている優良資産会社ができあがる。そして、十分な収入が上がれば上がるほどに、配当を流出させるくらいなら有利子負債を払ってやった方が痛手が軽いので合理的だということが結果として良く分かる。
この辺りがわたしが1826を高く評価する理由で、1826は単なる鉄道ゲームを越えて良いファイナンスシミュレーションゲームになっていると思う。