コマンド83号を入手

付録ゲームは「ブルー&グレー」。
率直な印象として、なぜいま「ブルー&グレー」なのだろうか?
わたしが感じていることは冒頭の高梨先生の記事に書かれている通りなので少しだけ引用しよう。
「(前略)。結果はそうおかしくないのだが、実際の戦いでそんなに部隊が前進と後退を繰り返すだろうかと考えるとどうもおかしい。またマストアタックで敵の全ユニットを攻撃しなければならないという縛りがあるため、コマ捌きが勝敗を分けるテクニックとなる」
「(前略)結論から先に言えばスタッキングを認めることはベーシックゲームにとってはマイナスである。」
などだ。
前者はシミュレーションとしてNAWシステム全体が持つ不自然さに対する懸念の表現であり、後者は特にブルー&グレーについて入門者向けには難しくなってしまっているという懸念の表現だ。
亡くなられた越田先生がNAWについては大変厳しい評価をしていて往年のニフティサーブでも持論を展開されていたのも思いだす。
その影響を受けているわたしもNAW系列には悪い印象しかなくて、特にブルー&グレーではスタッキングができるようになって急にプレイの煩わしさが増した印象が加わりどうも好きになれない。なぜいまになってこのゲームを敢えて付録ゲームに取り上げるのか意義が理解できない。
他の記事も参照すると、ライターによって考えの違いがあるようだが、比較的説得力のある主張としては日本では馴染みの薄い南北戦争のエントリーとしてプレイし、早々に他のゲーム(たとえばアクロス5エイプリルやCWB)に抜けていくための通過点として意義があるということくらいだろうか。
そうだとすれば、「南北戦争への誘い」という形でのまとめが必要だと思うのだが、本郷の副題は「共通言語を持ったベーシックゲーム」であり、非常に違和感が強い主張がタイトリングには窺える。
前号の付録が「パットン第3軍」だったことと合わせて、なんとなくSPI至上主義のようなものが台頭しているのだろうかと漠然とかんぐったりしているのだが‥?
SPIはわたしも好きで多くの傑作を残し、様々なシミュレーションのアプローチと、多くのゲームシステムの開発をしたと思う。ただ、その成果は、「共通言語となるベーシックゲーム」というタイトリングとは噛合いにくいものが多いような気がする。
その意味では、エポックの「ドイツ戦車軍団」の血統を引く新規軸の展開である「ドイツ装甲軍団」の新作モスクワや冬季反攻を展開する次号や次々号の付録ゲームの方が、ずっと「共通言語となるベーシックゲーム」というテーゼに沿っているのではないかと愚考する次第だ。
ブルー&グレーの流れを汲んだ南北戦争ゲームとしては、「ブルー&グレー2」、「セブンデイズバトル」や「アトランタキャンペーン二部作(S&T)」があるのだが、今後、そうしたものが付録ゲームとして登場することはあるのだろうか?