○リチウムイオン電池物語を読む

bqsfgame2009-02-13

軽量、高容量、メモリー効果小という理由で携帯電話やノートパソコンの電池として定着したリチウムイオン電池の開発物語だ。
開発者の吉野さんの筆致は軽く、あまりウェットにならずに明るく楽しく開発の苦労話しが語られている良書だ。
とかく、末期の「プロジェクトX」のように人情話的な苦労話しとして開発が語られることが増えてしまった近年だけに、心表れる良書だったと思う。
私見だが、「プロジェクトX」は、前半は素晴らしい番組だったが、後半は以下のような弊害があったと思う。
1:開発プロジェクトを浪花節の世界にしてしまった
2:どのプロジェクトにも「主人公」を作ろうとしてしまった
3:トップマネージメントに対して「スポーツ根性物語」的に開発プロジェクトを煽らせる副作用が大きかった
と思っている。
往時は
「開発者たるもの、仕事に没頭して寝食を忘れるようでなければ良い製品はできない」などと真剣に主張するトップがいてビックリしたものだ。寝食を欠くような不健康な状況が長く続けられる訳もなく、そんな状態で知恵が回る訳もない。
もちろん決定的な発見の前後に熱中して徹夜するようなことはあるとは思うが、それはマネージメントが強要するものではない。
言い替えれば、素晴らしい発見があるから寝食を忘れるのであって、寝食を忘れたから素晴らしい発見ができる訳ではなく、まったく因果関係が反転していると思う‥(^_^;