☆流星を読む

「乱紋」の姉妹編。永井路子先生。
今度は、母、お市の方の物語である。
信長が尾張で織田一族内部で争っている時代から、浅井に嫁ぎ、柴田に嫁ぎ、最後は北の庄で死ぬまでを扱っている。
戦国時代ウォーゲーマーには、非常にお薦めである。信長最大の危機に相当する場面を扱っており、合戦の場面は戦場視点でこそないものの非常に読み応えがある。
中でも、クライマックスは、金ヶ崎の退き口の小豆の袋のメッセージのシーンと、姉川の戦いの辺りになろう。その意味では、浅井編が本編のコアをなすと言って良いと思う。
その理由は、浅井編では一つ間違えば織田信長が負けていておかしくないと言う緊張感があるからであろう。
柴田編では柴田に勝機のなかったわけでもないのだが、浅井編に比べると秀吉が負けるかもと言う危機感は薄い。
本書では三人の娘たちはそれほど描かれていない。先に乱紋が書かれているとあっては、そこは既に描写済みだからだろう。
図書館で借りてきて読んだのだが、これは持っていても嬉しい本だと言う感想を持った。古本屋でちょくちょく探してみようかと思っている。