☆ゴリアテを読む

bqsfgame2013-05-11

リヴァイアサン三部作の完結編。
第2部のベヒモスで書いた通り、この三部作は非常に快調に進むエンターテイメントで、本完結編も期待を裏切らず500ページ近い長さを一気に読ませる。
前作では、東西文化の交点、魔都イスタンブールを舞台にした。本作では、巨大飛行獣は東に進みツングースから東京を経由して太平洋を渡る。そこで南に流されメキシコを通過して最後の舞台はニューヨークへと。ヨーロッパからアジアを経てアメリカまで、地球を半周以上する冒険の大航海はクライマックスを迎える。
内容は読んでみてのお楽しみだと思うのだが、とにかく虚実入り混じって豊富なガジェットが読んでいて楽しい。
前作で登場したテスラコイル兵器に続いて、テスラ博士本人が登場する。ツングース隕石、さらに日本海軍が誇る生体兵器「河童」、メキシコでは彼のパンチョヴィラが登場、ニューヨークでは南北戦争ゲーマーにお馴染みのピンカートン探偵社や、ピュリッツアーまで出てくる。
かくて随所に史実をベースにしていながら物語は我々の知る一次大戦史とは大きく異なる方向へと転進していき大団円を迎える。そして、どうしようもないトラブルメーカーの主人公の二人組は最後はどうなるのか、これこそ読んでのお楽しみ。
とは言え、ハリーポッターを引き合いに出すのは少し大げさかと思うが、非常に面白く中身が濃くバランスも最後まで失わない良質のエンターテイメント巨編だったと思う。同じ作者の既訳シリーズが他にもあるので、機会を見つけて読んでみたいと思う。