ストームオーバー崑崙関をソロプレイする

故あって久しぶりにソロプレイしてみました。
テレンス・コーが、ストームオーバー台児荘に続いてデザインした日中戦争ストームオーバー第2作です。ゲームエンジンは同じで、戦術チットの内容も共通性が高く、台児荘をプレイしたことがあればすぐに出来ます。そもそも台児荘自体がGJのストームオーバースターリングラードそのままと言って良いので、そこからすんなり入れます。
ただ、以前にも書いたかも知れませんが、本作は勝利条件の設定が良く、台児荘よりずっと面白いと感じました。
勝利条件は盤中央の崑崙関エリアを確保し、そこに補給線を通じていることです。
中国軍は地元ですので自軍盤端から自軍支配エリアなら地形に関わらず通すことができます。対する日本軍は自軍盤端から道路を通じてしか通せず、道路から最後に1エリアだけ隣に通せます。
ゲーム開始時には崑崙関は日本軍が支配しており、この周辺は山岳エリアなので防御効果が高く守りやすいと言う利点があります。
中国軍としては、これを正面攻撃で落とすのはスターリングラード市街攻撃にも似た難事業です。しかし、上述した通り補給線の設定に優位性があるので、山岳地帯を浸透して日本軍の補給線を脅かすことが可能です。この間接アプローチが本作の醍醐味であり、作戦の焦点になります。
浸透により戦線を延翼することで日本軍の防御を薄くし、その上で戦術チットで支援した強力な攻撃をどこかに仕掛ける。それにより日本軍の補給線を分断したり、あわよくば崑崙関を奪取すると言うのが中国の狙いです。
ストームオーバーでは、移動するとユニットは脆弱になり、かつ基本的に移動か攻撃の一方しかできないため攻撃側の負担が大きいシステムになっています。これに加えて山岳地形の効果があるので攻め方の中国軍は厳しい。それをゲーム的に成立させ面白くしているのが、上記の勝利条件の設定です。
ストームオーバーのゲームはGJの中村氏がシステムに新たな息吹を吹き込んでから大いに増えましたが、それでも基本的には上記の問題がありゲーム的に面白いと言えるものは意外に少ない印象を持っています。その中で本作はアイデアの光る一作で新進デザイナーのコーの出世作と言って良いと改めて思いました。