珊瑚海キャンペーンをソロプレイする

コマンド最新号のゲームを、最新号の内にプレイするのは久しぶりかも知れません‥(^_^;
あと日米戦争(「太平洋戦争」とはチリ対ペルーの戦争)の作戦級ゲームをプレイするのは、すごく久しぶりです。日記を検索してみたら該当するものがありませんでした。出てくるのは、「連合艦隊」のような戦略級か、「フライングタイガース」、「シェンノート最初の戦い」のような対イギリス軍作戦、もしくは「常徳(戦記)」、「崑崙峠」、「台児荘」のような対中国軍作戦だけです。
空母戦自体は、レッドドラゴンシステムの諸作品をプレイしているので、定期的にやっているのですが、日米戦争物は10年以上はご無沙汰でした。
閑話休題
本誌の巻頭記事を先に読んだのですが、なかなか面白そうに書いてあります。
読んだ時点での筆者の勝手な理解、と言うか期待を書くと、
a:指揮官が細部指示すべきでないことは戦術チットで表現し、プレイヤーは指揮官視点の全体作戦の意思決定にフォーカスするようデザインされている
b:にも関わらず、戦術チットの使用条件の部分で、全体作戦の意思決定が戦術戦闘にも影響を与えるようにデザインされている
c:プレイヤーが全体作戦の意思決定にフォーカスすることからリソースマネージメントゲーム的になっていてユーロゲームテイストに近い
と言った理解でした。
で、実際にソロプレイしてみたのですが、ガダルカナル島を巡る戦闘が断続的に発生し、3回目の戦闘解決が終った所で違和感が強くて中止してしまいました。
問題点として感じたのは、
d:戦闘処理に時間が掛かり過ぎ。結果として、プレイ時間の比重では戦術戦闘処理が重すぎて全体作戦の意思決定にフォーカスする意図は達成されていない
e:海戦において戦術チットで戦闘解決するのだが、空襲、砲撃戦、雷撃戦がチットドローによりランダムな順序で同一戦闘内で発生する
f:戦術チットによる戦闘システムで、海戦は基本的に交互に1攻撃を実施するシステムになっており、空母戦らしくない
と言った所でしょうか。
筆者の個人的な理解として、海戦は有効距離の遠い順に、空襲、砲撃戦、雷撃戦の順に発生します。これは敵を遠距離で発見してから、順に接近していく結果として合理的な順序だと思っています。ところが、このゲームでは一旦、雷撃が起こってから、また空襲に戻ったりします。また、チットとして空襲>雷撃戦>砲撃戦の順に効果的なので、砲撃戦より先に雷撃戦が起こります。これはなんとなく変だなぁと思いました。
あと珊瑚海海戦は、「史上最初の水平線以遠での戦闘のみによって決し、空母時代到来を告げた海戦」と理解しています。空母戦の特徴として、空襲の決定力、それを背景とした先に敵を発見した側の圧倒的な優位性、それ故の索敵の重要性と言うのがあるかと思います。このため、空母戦では、「敵を先に発見するべく敵の企図を推測し効果的な索敵計画を組む」部分の比重が高いと思っていました。このゲームには、そうした部分がまったくないのです。元々が陸戦用(青作戦)に開発されたシリーズルールを空母戦に持ち込んだのが、上手く行っていないのかなと感じました。
索敵のドキドキ感がないのもそうですが、一旦、戦闘開始してからの空襲の必殺力不足も、個人的には違和感がありました。相手にも撃ち返される砲撃戦より有効なのは確かですが、空襲に成功しても決定的な戦果には程遠い印象です。
そんな訳で、中断して本稿を書いています。
戦闘システム以外の所が悪い訳ではないと思うので、全体としては一定程度、機能しているのかも知れません。でも、此処には空母戦ゲームに期待していたドキドキや、雑誌記事を読んで期待していた斬新なデザインの成果はないように思いました。
BGGを見ると、GITTESの意見に割と同意できます。「随所に良いアイデアはあるけれど、全体として上手く機能していない」と思います。
あとシリーズ全体の評価を見て気付いたのですが、本シリーズは1作ごとに平均レーティングが下がっています。これは、シリーズゲームとしては大変めずらしいことです。普通はシリーズゲームの2作目以降は、前の作品を面白かったと思う人だけが買うようになり、同じ程度の出来栄えが維持されていれば、結果として低評価を付けた人が脱落していく分だけ平均点は上がっていきます。そうなっていないと言うことは、第1作で本シリーズを支持した人の目から見ても、2作目、3作目はあまり成功していないと類推されます。
個人的に第1次ポエニ戦争を題材にしているゲームは珍しいので、第3作に興味を持っていました。ですが、今回の結果を見ると、二の足を踏んでしまいます。