☆ボーンシェイカーを読む

bqsfgame2013-09-19

☆はちょっと甘いかも知れません。
ただ、筆者はあかね書房の少年少女世界SF文学全集の「地底世界ペルシダー」以来の鉄モグラファンなのです‥(^_^;
SFが読みたい2013ではランク外の注目作品として簡単に触れられているだけでした。言っては何ですが、最近読んだ同ムックのランキング作品3冊のいずれよりも本書の方が面白いです。
ただ、「世界設定の大きさの割に物語が小さい」とは言い得て妙です。
なんか、RPGのソースブックを読んでいるような所があります。世界設定に凝っているのだけれども、それを紹介するための狂言回しとしての主人公とおざなりの物語だけ用意して小説にしましたみたいな。
封印された過去の大都市と、それに寄生する外部集落と言う設定は、「ルーンクエスト」のビッグラブルとパヴィスみたいで、それもRPG的と思わせる一因でしょう。
典型的なスチームパンクですが、これもネットで指摘を読んだように、往年の第一次スチームパンクブームの諸作品より格段にリーダビリティが高い。
この世界設定の魅力と高いリーダビリティをもって、個人的には良しとします。もっと世界を救うような大きな物語を望む人には、「ミッドナイターズ」三部作をお薦めします。
まぁ、世界設定の割に物語が小さいのは、「都市と都市」だってそうではないかと言う気もしますが。
ちなみに、本作はシリーズ化されているそうで、次は「クレメンタイン」だそうです。まだ、訳出予定はオープンになっていないようですが、是非とも風化しない内に実現して欲しい所です。いや、その前に「ペルディードストリートステーション」の次はどうなってるんだと言う気もしますが。
あまり科学性はないのですが、本書は列記としたローカス賞のSF長編部門の受賞作です。そうか、ヤングアダルト部門じゃないのかと読んでから気付きました。この部門は訳出が早くて、翌年が「ブラックアウト」「オールクリアー」、そして最新が「言語都市」と全て早川が訳出しています。ロビンスンの「米と塩の年」が積み残しになって訳されないのですが、もう訳すつもりはないのでしょうか。そう言えば、こちらも「ブルーマース」はどうしたと言うツッコミ所がありますが。