武士の家計簿を見る

「空飛ぶダコタ」と「空飛ぶタイヤ」の「空飛ぶ●●」シリーズに押されて積読になっていた邦画のテレビ放映録画です。
大村益次郎兵站事務の才能を見出されて海軍主計大監に出世した元加賀藩士、猪山成之を視点人物に、猪山家の5代に渡る算盤侍の暮しを描いた地味な映画です。
加賀百万石の算用方として代々勤める猪山家の日常をありのままに描いた学究書をベースにしているので、奇抜な展開はありません。むしろ、算用方と言うあまり知られていない下級武士の生活実態そのものが興味深いのです。
父に反発して明治維新で立身出世した息子の視点から、生涯、算用方を勤め上げた父の世代を描いています。飢饉で供出したお救い米の横流しに気付き左遷されそうになる話し。幸いにして横流しに手入れが入って、逆に真面目に取り組んでいたことが評価され一転、出世した話し。借金だらけで崩壊していた家計を建て直すため、家庭版財政再建に乗り出す話し。息子にも算用方を継がせようと算盤を教えるが反発されて対立する話し。と続いていきます。
まぁ、地味です。しかし、聞いたこともなかった算用方の仕事や暮らし向きは確かに興味深い。クライマックスは、我が家の財政再建です。売り払える家財は全て売り払うに当たっての騒動はなかなか面白く描けています。
あと、視点人物の息子の嫁で、女子ーズ・ブルーこと藤井美菜が登場するのには驚きました。2010年で、彼女が日本映画に活発に出ていた最後の作品なのですね。その後は韓国に活動の軸を移し、最近また日本に戻ってきているようです。それにしても彼女の着物姿は珍しいですが、美人は何を着ても似合うから羨ましいですね。