〇かまどの火を読む

 山田正紀の「地球軍独立戦闘隊」の一編です。

 仏教宇宙観が本物の宇宙と良く合致することをバックボーンに、ブラックホールの中に封じ込められた宇宙を舞台に、そこからの解脱を目指す人々のレミングのような挙動を描いた短編です。
 名作「宝石泥棒」を彷彿とさせる砂漠を旅する主人公たちの物語です。
 「最後の敵」との類似も感じました。後の骨太の長編へと繋がる習作として、山田正紀を語る上では読んでおくべき一作と思いました。その意味で「傑作」との世評をネットで複数見掛けるのは郁子なるかなと思いました。