☆日本SF全集総解説を読む

bqsfgame2014-09-25

寡聞にして本書の存在を知らなかった。
SFマガジンに連載になった架空の日本SF全集を総解説している本。レムの「虚数」や「完全なる真空」と似た企画で、「■■総解説」シリーズの体裁を取っている。
本書を読むと、自分が思うままに読んできた日本SFの読書履歴に、あちらこちらに穴が開いているのを確認できて面白い。
第一世代作家の中では、星、小松、眉村に偏しているのだが、眉村作品の中にも読み残しがあるのを気付かされて興味深い。また、光瀬龍の未来史シリーズが纏まった本があるのに読んでいなかったり。半村良は、著者のもっとも得意とする伝奇ものを読んでいなかったりする。矢野徹の「折紙宇宙船の伝説」も本書を読んで、一度、読んでおきたいと思うようになった。
第二世代作家では、山田正紀に一極偏重しているのだが、それでも読み落としがあったりして恐ろしい。
第三世代作家になると、デビュー当時を知っている人がほとんどだが、こうして見ると寡作だったり、早々に執筆をほとんどしなくなった人が多くて残念に思う。水見陵、大原まり子辺りは、もっと活躍して欲しいと思うのだが。
後は山尾悠子は、読んだことがないのだが、この機会に読んでみたいと思う。鈴木いづみの作品も、まとまったのは知っていたが読んでいないままになっている。鏡明の雑誌連載のまま本にならない作品の多いのはどうしたものか‥(^_^;
とまれ、SFと言う熱気に再び当てられる良書だと思う。ところどころセレクションに意見したくなるのは、止むを得ない所だろうか。