そうですか中村先生のアンソロジーも竹書房に、大森先生のアンソロジーに続いて、有力なコンテンツがどんどん竹書房へ移動しておりSF出版の勢力図は大いに変わってきています。
本書は猫アンソロジーです。猫SFのアンソロジーには先達があり、そちらとは一作もかぶらないように選定したとのことです。そうすると、猫SFの最高傑作と呼ばれるものが取れなくなるので、かなり苦労があったものと思います。
それでも、スタージョンとライバーを入れて纏めるのですから豪腕アンソロジストの面目躍如。
〇パフ
猫は子猫の時がいちばん可愛いので、子猫のまま成長しない猫を作るという話し。しかし、それにはデメリットもあり、猫を飼っている娘が犬に襲われるのを子猫では防げない。
×ピネロピへの贈り物
RAヤングです。
筆者はヤングとは相性が悪く、世評の高い作品もどれも面白さが判らない。本作も同様で、ちょっと洒落たSF落語みたいなものだとは思うのだが、ピンとは来なかった。
〇化身
猫に変身できる女性の話しです。
〇ヘリックス・ザ・キャット
スタージョンです。本書の中では一番の出来ではないかと思います。
×宇宙に猫パンチ
猫が主役のスペースオペラです。ちょっとテンポが悪い気がしました。
〇チックタックとわたし
JHシュミットのテルジーシリーズの一作です。
シュミットらしく合格点に仕上がっていますが、シュミットとしては凡作という気もします。贅沢を言いすぎでしょうか。
〇影の船
フリッツ・ライバーです。
ライバーは言って見ればSF界の古えの種族のような作家で、SF、ファンタジー、ホラーなどが未分化な時代に活躍しました。
本作もその典型で、宇宙船の中の話しなのでSFですが、出てくるのは吸血鬼などなのでホラー調です。
ただ、この不気味な宇宙船内の話しにライバーとしか言いようのない魅力があることは間違いありません。