ハリイ・ハリスンです。
ホームワールドの続編。
圧倒的にこちらの方が面白いです。
自転軸が大きく傾き、極端な夏を持つ惑星。そこに流刑にされた前作の主人公が、この惑星の伝統である極から極への民族大移動を指揮する話しです。
ハリスンは、割と生態系SFを良く書きますが、
これもその一つと言えます。
どちらかと言うと、こちらが本編で、ホームワールドが前日譚として書き足されたのではないかと思う程に本作のハリスンは生き生きとしています。
テクニカラータイムマシンと共に、これからハリスンを読む人にお薦めです。
ギター一本でやっている流しだが、フォークからクラシックまでなんでもこなせてしまうと以前に評しましたが、その評価は揺らぎません。
良く言えば器用、悪く言えば節操がないのですが、それが彼の持ち味です。
p8
扁平な塚のように盛りあがったしわだらけの灰色の肉体はすくなくとも6トンの重さがあるだろう。体表には開口部も器官も見当たらないが、近くでよく観察してみると厚い皮膚の中の小節にはそれぞれシリコンの窓があって、空からの放射線を完璧に吸収できるようになっている。透過部の下にあるプラント細胞-これは【でぶちん】とややこしい共生関係にある-が太陽のエネルギーを糖に変換する。
p24
ハーヴモーク。はじめてこの惑星を発見した探検隊がつけた呼び名だ。たそがれた、薄明の世界。カタログに載っている正式な名称は馭者座ベータ星第三惑星、強烈な熱を放つ青白星の周囲をめぐる六つの惑星のうちでただひとつ居住可能な世界だ。