○死の世界1を読む

「大西洋横断トンネル万歳!」、「人間がいっぱい」と来て、今度は創元文庫の「死の世界1」です。

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SF三文庫に跨って訳された作家は、意外に少ないのではないかと思いますが、ハリスンはその一人。そう言えば、アンソロジストとしての相棒であるオールディスも三文庫に跨って訳された一人でした。

それにしてもヴァンスの「冒険の惑星」と並ぶ、創元さんの売る気のないタイトリングと装丁はどうにかならなかったのでしょうか。ちなみに図書館です。これを往時に買おうとは、とても思えませんでしたよ。

内容的にはまずまずです。

一種の生態学SFです。

人間に全力で敵意を剥き出しに攻撃してくる環境を持つ惑星ピラス。この生態系自体が主人公と言って良いでしょう。

そこへ期せずして招かれるギャンブルを本職とする主人公。うーん、スチールラットもそうですが、ハリスンの主人公ってやさぐれ系で、感情移入しにくいです‥(^_^;

この環境の謎解きをして、一応の平和を見出すところで完結しています。別に続編がなくても良い感じ。

評価としても、前の二作品より落ちると思ので2、3へと読み進まなくても良いのかなと思っています。他に読むものがなくて困ったら思い出すこともあるというくらいの感じでしょうか。

タイトルをなんとかして、素敵な表紙を付ければ、再版してもイケると思います。中村保男先生の訳業はしっかりしていますから。ハリスンにそこまでの需要はないでしょうか。