☆原始惑星への脱出を読む

bqsfgame2017-07-03

なんと、ジョン・ブラナーです。
1979年にハヤカワ文庫で訳出された「流れ星をつかまえろ」を読んで以来の2冊目になります。
ブラナーはエンタメ性の高い作品を量産した作家で、イギリス版シルヴァーバーグとも言われます。その割には翻訳に恵まれませんでした。代表作の「スタンドオンザンジバー」、「ジグザグ軌道」、「羊は見上げる」などは、依然として未翻訳です。唯一訳された「衝撃波を乗り切れ」も、集英社のハードカヴァーと言うSFファンの目に付きにくい所で出版されたので、出たことを知らない人も少なくないでしょう。
閑話休題
そんなブラナーですが、本書は抜群に面白いです。「流れ星をつかまえろ」も面白かった記憶があります。はっきり言ってエンタメ路線なので、格調高いとは言えません。しかし、オールディスの「地球の長い午後」を思わせるヴィヴィッドな生態系。通俗的ではあるが、判りやすく楽しめるメインストーリー。80点以上を付けられるニュースペースオペラと言って良いでしょう。宇宙版「二年間の休暇十五少年漂流記)」と言う表現が解説にありますが、その理解で間違いはありません。
本書は、実はツァラ避難民シリーズの第2作で、第1作はハヤカワ文庫から訳出された「テラの秘密捜査官」だと言うから驚きです。内容紹介のどこにもそんなことは書いていませんし、帯の惹句にもない。まぁ、本書は久保書店のSFノベルズの一冊なので、ハヤカワさんのことは知りませんと言うことでしょうか(苦笑)。
ちなみに、久保書店のSFノベルズの中でも本書は2冊目。シリーズ冒頭なので当りを持って来たと言うことでしょうか。だとすると、センスの良い配本だと思います。ちなみに1冊目は、ハミルトン(別名義)の「宇宙艦隊の奇襲」ですから、ニュースペースオペラ志向で、エンタメ性の高い物をというセレクションだったのでしょうね。
うーむ、これがこんなに良いのでは、「テラの秘密捜査官」は探してでも読まねばなりますまいて‥(^_^;