新・プロジェクトXを見る

 さて、その膳場貴子さん(承前)が25才で担当した出世作プロジェクトXが復活しました。18年ぶりだそうです。

 ここを誰がやるのかと思っていたら、森花子アナウンサーでした。先日の人事異動で出てこなかったと思ったら、水戸局勤務のままでの担当なのですね。スタジオ収録の都度、特急ときわで出張してきているのでしょうか。ご苦労様です。

 こちらも初回を娘とのチャンネル争いの末に断続的に見ました。

 初回のために仕込んでおいたと思われるキラーコンテンツ東京スカイツリー」でした。さすがに凄かったです。

 まず鉄骨の部品鍛造の大阪特殊鋼管さんの所から始まって、金属工学出身者としては泣かされました。亡くなられた長島先生に見せたかったものです。

 続いてはどうやって634mの鉄塔を建てるかというゼネコンさんの話し。

 それを現場で実現する鳶たちの話しと続きます。

 三本の塔はそれぞれ別の事業体が引き受けていて、毎日が運動会のようだったという当時31才の職長・半田の回顧には大いに心揺さぶられました。自分たちもそれなりの技術を持っていると自負していたが、現場で世評の高い西中建設の仕事を観たら、とにかく圧倒的に速い。なにがそんなに違うのかもわからず、いらいらして現場に当たり散らしてしまい、それが原因で退職させてしまった鳶も数多いという話しには非常に沁みるものがありました。

 最初は、互いに敵なので「真似するんじゃねえよ」などと言われていたのが、長期の現場を一緒にやる中で現場同士が交流するようになりやがて、いろいろな技術も交流されるようになったというエピソードはプロジェクトXの面目躍如です。

 634mに辿り着いた時に最初に上からの景色を見るのは誰かと言う時に、半田がオレだろうと鳶たちを抑えて職長権限を揮ったという話しに、ライヴァルの西中の森川が「そりゃあ、ダメでしょう。だって、みんな見たいのはおんなじなんだから」と揶揄したのもまたしんみり。

 東日本大震災の時に、いったん展望台まで退避しながら、固定していないゲイン塔の固定のために再び上へ戻る決断をしたエピソードがクライマックスでした。それをしたのが、3つの担当組の中で仕事の一番遅かった半田の組だというのが、ちょっと出来すぎな感じもしますが、あれがないと半田ってイヤな奴で終わってしまってドキュメンタリーとして不完全燃焼なのでしょうね。

膳場貴子のサンデーモーニングを見る

 ついに関口天皇陛下が降位されました。

 後任が誰かと思ったら、なんと膳場貴子というのが驚きです。東大卒美女、結婚歴3回というのは有名な話しですが、改めて大いに話題になってしまって気の毒な気もします。そんなことよりアナウンサー、キャスターとしての実績や実力が話題にならないのは、東大と結婚3回のインパクトが大きすぎるからなのでしょう。

 初回を断続的に見ましたが、コメンテーターたちを立てて前に出ないおっとりとした振る舞いで好感が持てました。まあ、東大を振り回さないでやって欲しいものです。

 上原が涌井の20年連続勝利にあっぱれを出さなかったところで声を上げたそうなのですが、そこは見ていませんでした。後でTVERで観なくては‥。

 もともとはNHKの人ですからニュース読みはしっかりしていると思っていたのですが、一週間のパートでの読み上げが意外に上手くなくてちょっと冷や冷やしました。

 親戚の姪っ子が初出勤で失敗しやしないかと見守る叔父さんの心境でした。

 まぁ、徐々に自分の色を出していくでしょう。

 まだ、助走期間。

モスクワへの4つの道の評価を調べてみる

ヒトラー、東へ転じる」は、自分でプレイして確認するとしましょう。

 それ以外の3つの世評を調べていたら、BGGのこちらの記事が包括的に良くまとまっています。

The Mega Review: An Thorough Analysis of All Four Games. | BoardGameGeek

 他の人のコメントなども見ると、出来が良いのは、「ヒトラー、東へ転じる」と、プラドスの「暗号名はバルバロッサ」の2つのようです。

 逆に「熊を打て!」は、デベロップが不十分で難破しているとのことです‥('◇')ゞ

 同作品のデザイナーのロジャー・ノルドの一番売れた(BGGで所有者が多い)ゲームは、ボックス版「アラビアのロレンス」や、ウォーゲーマー版(コマンド版)オキナワの人だそうなので、ヴェテランではあるのですが。

☆ロードマークスを読む

 1981年にサンリオから訳出された傑作長編。

 ゼラズニイと言うと、やっぱり早川さんで、あまりサンリオという感じではなかったですが、なぜかこれは唐突にサンリオから訳されました。

 割と判りにくい構造の作品で、特に主人公のいない場面を記述するⅡパートは、作者がわざとランダムシャッフルして時系列をズタズタにして出してくるので理解しにくい。

 さすがに編集者が一部のビニエットの入替えを指示したそうで、それが現在の形。それでも十分に判りにくいです。

 全ての時空間に繋がっている「道」という構造物を主人公が旅するロードムービーみたいなⅠパートが主線。これに、主人公を暗殺すべく「黒の十殺」を宣言し、腕利きの暗殺者を集めて順に仕掛ける主人公のかつての相棒側のもろもろを描くⅡパートが時系列ズタズタで挿入されているという。

 暗殺者はどれもキャラが立っているのですが十人全員は揃っていません。揃えて欲しかった気もしますが、キャラが弱いのが混ざるくらいならこれで良いのかも知れません。

 訳は「ブロントメク!」と同じ遠山俊征さん。

p62

「あなたが、霧のなかを歩いている。あなたが死にむかっているんで、霧が濃くなっていくわ。なのに、あなたはそれを望んでいるのよ!まえに十羽の黒い鳥があなたを追いかけているのを見たけど

 いまは九羽が

「黒の十殺だ!」レッドが、おしころした声で言った。「仕掛けたのは、だれだ?」

p71

「‥わたしは、マンダメイ。焼き物をつくっています。ちょっと失礼」

「どうぞごゆっくり」にこやかな顔で、ジャンは言った。「マンダメイ名人のお仕事ぶりを拝見できるとは、じつにたのしいことです」

p75

「時間というものが、出口や入口がたくさんあるスーパーハイウェイで、それにはいくつものメインルートや枝道があって、その地図がしじゅうかわり、ほんのひとにぎりのものにしか出入口をみつける方法がわからないってことを、おまえ知ってるか?」

p89

 つぎつぎに根こそぎにされていく雑草にあやまりながら、ティーミン・ティンは寺の庭で働いていた。小柄な男で、きれいに剃った頭が、年齢をますますわかりにくくしている。一心に鍬をふるうその動きは、鋭く、しかもしなやかだ。

p144

「や、先客がいらっしゃったとは。わたしひとりだと思っていましたよ」こう言いながら、男はレッドのテーブルに歩をはこび、手をさし出した。「ドッドといいます、マイクル・ドット

 レッドは立ち上がって、男の手を握った。

(中略)

「どういうつもりだったんだろう?」

「彼-というよりあれ、ね-あれはあなたをやっつけるつもりだったのよ。でも、あれはきっと、最初のあのときに、すっかりど肝を抜かれてしまったんだわ、あなたが自分を守るためになにか魔法を使っていると思ったのね。あれが生まれた世界には集積回路なんて言うものはなくて、ある種の魔法が使われているんだわ。あれは、あなたも魔法を使っているんだと思って、それで、それがどういうものかわからないもんで、こわがっているのよ」

p152

「ファイルなんか見たくもない。君の口から、この男について話してほしいんだ」

名前はアーチ・シェルマン-第三次世界大戦で勲章の数がいちばん多かった兵士でして、戦争の名人です。1C半ほどさかのぼったところでみつけました」

p173

「どの殺し屋のことかね?」

死を招く手と、あんたがえらく喜んでいたあの習慣をもった例の女だ。なんのことはない、蒸発したのだ。新しいボーイフレンドといっしょに姿を消したきり、もどってこない」

p175

「こんどは、どの代理人を使うつもりだ?」

「強いやつでなくてはいかんと思う。そう、マックスを使ってみるか。あの装甲車におさまったC24の人間の頭脳だ。あるいは、ティーミン・ティンでもいいな-しかしこいつは、ほかのみんなが失敗したときのために、とっておきたい気もする。そう、アーチはどうだ。うんそうだ‥」

p181

「いよう、アーチ」低い声がした。

「あんたとは、はじめてのような気がするが」

「そのとおり、会うのはこれがはじめてだ。だが、おまえの写真は見たことがある。おまえもたぶん、似たようなことで、おれの写真を見ているんじゃないかと思ってな」

 アーチは相手の顔にじっと目をやった。

「うん、見おぼえがある。名前はなんといったかな」

ティーミン・ティンだ」

 

 と言う訳で6人が登場します。他に最初に登場するマンダメイよりも前に一人失敗していることが語られますので7人の暗殺者が登場したことになります。

 世界中から集めた暗殺者集団と言うと、これを思い出します。

ヒトラー東へ転じるを入手する

 プチウォーゲームショップです。

 ATOアニュアルのテッド・レイサーのバルバロッサだそうです。
 あれ、そんなのあったっけかと疑問に思っていましたが、現物が届いて判りました。
 2010年のアニュアル、「モスクワへの4つの道」の一つなのですね。
 ちなみに、他の3つは、プラドスの「コードネームはバルバロッサ」、マイケル・リネラの「スローターハウス」、ロジャー・ノルドの「熊を打ち倒せ!」だそうです。
 テッド・レイサーのゲームは久しぶりだなと思ってBGGで彼のゲームを検索して発表降順に並べてみたら、全然、プレイした記憶がない。自分のブログを「レイサー」で検索しても全然それらしいものは見つからないので、もしかすると20年ぶりくらいかも知れません。
 まさか、英語版コマンドのヴェルダン(1918:ストーム・イン・ザ・ウェスト)以来39年ぶりではないと思うのですが、自信なくなってきました。

オードリーを見る

 「まんぷく」の再放送が終わって次は何かと思ったらオードリー(2000)です。

 地デジでは次の「ちゅらさん」だそうですので、2000年と2001年の作品の並行再放送となります。

 主演は岡本綾。一回目の舞台がいきなり太秦なのはびっくり。出てくる看板俳優が「もも剣」に「栗きん」という。もも剣って、どこかで聞いたなと思ったら、同じく太秦を舞台とした「カムカムエブリバディ」の川栄編に登場したそのものです。厳密には助の字が介になっているので、似たような別人ということのようですが。

 国村準と、藤山直美の「いもたこなんきん」の主演コンビが両方登場するのも、NHK大阪は、いつも同じような顔ぶれで使いまわしているなと思います。別に悪くはありませんが。

 お母さん役が賀来千香子、お父さん役が正に大河で活躍中の段田安則

 そう言えば段田は「カムカムエブリバディ」の第一部でも活躍しました。

〇殺人記念日を読む

 図書館です。

 以前に読んだこちらが非常に良かったのでディレーニイの新作がないかと探しましたが不発。

bqsfgame.hatenablog.com

 なので、訳者の唐木田さんの最近の仕事を検索して、梗概を読んでこちらを借りてきました。

 主人公は愛する妻が実の姉から暴力を受けてきたことを知り、さらに姉が家族の周辺に出没して危機を感じたことから殺してしまいます。夫婦で共謀して死体を隠して犯罪を隠蔽します。

 次はその姉の知人がやってきて、お前たちが殺したのだろう公表するぞと恐喝してきます。なので、夫婦で共謀して殺害隠蔽します。

 この夫婦での共同作業による一体感に酔ってしまった二人は、さらに新たなターゲットを探し始めます。住んでいる地域で18年前にあった連続殺人犯が帰ってきたと偽装して、彼が選びそうな女性で係累などがなく発覚が遅くなりそうな女性を選んで殺害し埋めてしまいます。

 そのターゲット選びの過程で身辺調査のために主人公はターゲット女性をナンパし、一線を越えてしまいます。

 そのことを察知した妻はどうするか‥というのが本作の中核部分です。

 主人公が殺人のために夜中に出かけるのを見つけた息子は、浮気だと推定して主人公を恐喝します。この段階で、てっきり最後は恐喝してきた息子も殺してしまう話しになるのかと思いましたが、そうではありませんでした。むしろ息子は最後のクライマックスでは敢然と主人公を守るべく真犯人との間に立ちはだかってくれます。

 さて、真犯人とは?

 主人公は自分が真犯人のつもりでいたのですが、実は最初からそうではなかったという驚愕の真相がクライマックスで明らかになります。

 そうか、そうだったのか! と絶句するアイデアです。

 殺人犯側の家庭の心理劇なので、万人にお勧めとは言いにくいのですが、お代は見てのお帰りとは行きませんが一読する価値はあります。「冷たい家」より1ランク落ちますが、これもベストセラーになるだけのことはあります。

 以下、ネタバレ注意です。

p242

 ローリーがわたしを恐喝してのけたことに、はじめは感心したものだ。それは認めよう。証拠を押さえた息子より、押さえられた自分に腹が立った。

p401

 わたしはできるかぎり声を大にして言います。最近ふたりの若い女性が殺害されたのは、痛ましく、たいへんつらいことです。ですが、これだけははっきり申し上げます。兄は今回の事件とはなんの関係もありません」

p479

 ナオミの血でそのメッセージを書くことができた人間はひとりしかいない。話を聞いたときからわかっていた-別の説明を探し求めていただけだ。

「夫をはめたのか」わたしは言う。

p483

 「どれぐらい前から計画してたんだ」

「それって大事?」

 いや、もうどうでもいい。

「説明させてくれないか?」

「だめ」

「ミリセント」

「なあに、謝るつもりなの。たまたまこうなっただけで、悪気はなかったって?」

 ぐうの音もでない。

「それで、どうするの? 逃げて隠れるか、それともとどまって戦うか

 ほらまた、だからあなたはダメなのよ」

p502

 アンディが一瞬ためらってから、首を横に振る。「そこまで、めちゃくちゃになったんなら真実を告げよう

 おれはミリセントを全然好きじゃなかった。いつも少し冷たい感じがした」

「きみは正しかったよ」

p535

 夫が連続殺人鬼だと知った妻ならそうするのが当然だろう。夫をはめた連続殺人鬼ならそうするのが当然だろう。

p560

 わたしはその顔を凝視しながら、ホリーについてミリセントから聞いた話を全部思い返す。怪我、事故、脅し。切り傷。まちがっていたパズルを直すように、頭のなかでピースが置き換えられる。

 全部ミリセントが自分でしたことだった。