×第9軍団のワシを読む

 イギリスのローズマリ・サトクリフのブリトン・ローマン4部作の第1作、図書館。

 ブーディカ対戦に向けて、図書館になにか適当な資料がないかと検索したら引っ掛かってきました。

 岩波少年文庫ですが、リーダビリティは少年文庫にしては重い感じです。

 本作は2011年に映画化されたこともあるそうなので、それなりの知名度のようです。TVシリーズもあったらしい。

 ブーディカの鎮圧に参加した第9レギオン、ヒスパナは、その後、ブリタニア駐屯となったそうなのですが、忽然と記録が途絶えてしまいます。

 本書では、第9レギオンは、さらなるブリタニアの反乱に敗れてしまい、その象徴であるワシはカレドニアの奥地へと持ち去られたという設定を使っています。

 主人公は同師団のナンバー2の息子で、父の汚名をそそぎ軍団を再興するためにカレドニア奥地へと冒険してワシを持ち帰ろうとする冒険譚です。

 少年文庫の冒険ものにしては、いささか読みにくく、結末にも爽快感がありません。

 ちょっと期待していたものとは違ったので、思い切って×にしました。

 本作は四部作の劈頭なのですが、このくらいの出来栄えなら後はもういいかなと思いました。

 ただ、ケルトの祭祀の様子など非常に詳細な描写がされていて、そこらは読み応えがありました。さすがに地元の人が良く調べて書いているので、そこは日本ではなかなか得難い知識なので貴重ではありました。

虎に翼を見る

 あんまりそそられない題材、キャスティングなのですが、第1週は一通り見ました。
 女性初の裁判官になる三淵嘉子をモデルにしたフィクションだそうです。
 母親役が石田ゆり子。その尻に敷かれる父親が岡部たかし。岡部は朝ドラは、なつぞら
、エール、ブギウギに続いての登場だそうなのですが、なつぞらとブギウギは一話も見ていないので、個人的にはほぼノーカン。むしろWOWOWの人と思っていました。
 石田ゆり子を突破して明律大学女子部に入学するまでが第1週。
 母は「頭のいい女が幸せになる方法は頭が悪いふりをするしかない」と悟っているので、頭がいいことを表に出して生きていくことに大反対。しかし、たまたま待ち合わせた甘味処で、娘が法の世界で通用するはずがないと酷評する桂場(松山ケンイチ)の言い分を聞いて切れてしまい、「あなたなんかにウチの娘の何がわかるんですか」と啖呵を切り、勢いで振袖を買うはずが六法全書を買い与えてしまう所で第1週は終りました。

 伊藤沙莉も、松山ケンイチも、個人的にはあまり好きではありません。石田ゆり子は好きな女優さんの一人ですが、彼女が大活躍するのは冒頭だけなのかなぁと思うと、どこかで脱落しそうです。
 とりあえず来週(すでに今週)は見てみようかと思いますが。

新・プロジェクトXを見る

 さて、その膳場貴子さん(承前)が25才で担当した出世作プロジェクトXが復活しました。18年ぶりだそうです。

 ここを誰がやるのかと思っていたら、森花子アナウンサーでした。先日の人事異動で出てこなかったと思ったら、水戸局勤務のままでの担当なのですね。スタジオ収録の都度、特急ときわで出張してきているのでしょうか。ご苦労様です。

 こちらも初回を娘とのチャンネル争いの末に断続的に見ました。

 初回のために仕込んでおいたと思われるキラーコンテンツ東京スカイツリー」でした。さすがに凄かったです。

 まず鉄骨の部品鍛造の大阪特殊鋼管さんの所から始まって、金属工学出身者としては泣かされました。亡くなられた長島先生に見せたかったものです。

 続いてはどうやって634mの鉄塔を建てるかというゼネコンさんの話し。

 それを現場で実現する鳶たちの話しと続きます。

 三本の塔はそれぞれ別の事業体が引き受けていて、毎日が運動会のようだったという当時31才の職長・半田の回顧には大いに心揺さぶられました。自分たちもそれなりの技術を持っていると自負していたが、現場で世評の高い西中建設の仕事を観たら、とにかく圧倒的に速い。なにがそんなに違うのかもわからず、いらいらして現場に当たり散らしてしまい、それが原因で退職させてしまった鳶も数多いという話しには非常に沁みるものがありました。

 最初は、互いに敵なので「真似するんじゃねえよ」などと言われていたのが、長期の現場を一緒にやる中で現場同士が交流するようになりやがて、いろいろな技術も交流されるようになったというエピソードはプロジェクトXの面目躍如です。

 634mに辿り着いた時に最初に上からの景色を見るのは誰かと言う時に、半田がオレだろうと鳶たちを抑えて職長権限を揮ったという話しに、ライヴァルの西中の森川が「そりゃあ、ダメでしょう。だって、みんな見たいのはおんなじなんだから」と揶揄したのもまたしんみり。

 東日本大震災の時に、いったん展望台まで退避しながら、固定していないゲイン塔の固定のために再び上へ戻る決断をしたエピソードがクライマックスでした。それをしたのが、3つの担当組の中で仕事の一番遅かった半田の組だというのが、ちょっと出来すぎな感じもしますが、あれがないと半田ってイヤな奴で終わってしまってドキュメンタリーとして不完全燃焼なのでしょうね。

膳場貴子のサンデーモーニングを見る

 ついに関口天皇陛下が降位されました。

 後任が誰かと思ったら、なんと膳場貴子というのが驚きです。東大卒美女、結婚歴3回というのは有名な話しですが、改めて大いに話題になってしまって気の毒な気もします。そんなことよりアナウンサー、キャスターとしての実績や実力が話題にならないのは、東大と結婚3回のインパクトが大きすぎるからなのでしょう。

 初回を断続的に見ましたが、コメンテーターたちを立てて前に出ないおっとりとした振る舞いで好感が持てました。まあ、東大を振り回さないでやって欲しいものです。

 上原が涌井の20年連続勝利にあっぱれを出さなかったところで声を上げたそうなのですが、そこは見ていませんでした。後でTVERで観なくては‥。

 もともとはNHKの人ですからニュース読みはしっかりしていると思っていたのですが、一週間のパートでの読み上げが意外に上手くなくてちょっと冷や冷やしました。

 親戚の姪っ子が初出勤で失敗しやしないかと見守る叔父さんの心境でした。

 まぁ、徐々に自分の色を出していくでしょう。

 まだ、助走期間。

モスクワへの4つの道の評価を調べてみる

ヒトラー、東へ転じる」は、自分でプレイして確認するとしましょう。

 それ以外の3つの世評を調べていたら、BGGのこちらの記事が包括的に良くまとまっています。

The Mega Review: An Thorough Analysis of All Four Games. | BoardGameGeek

 他の人のコメントなども見ると、出来が良いのは、「ヒトラー、東へ転じる」と、プラドスの「暗号名はバルバロッサ」の2つのようです。

 逆に「熊を打て!」は、デベロップが不十分で難破しているとのことです‥('◇')ゞ

 同作品のデザイナーのロジャー・ノルドの一番売れた(BGGで所有者が多い)ゲームは、ボックス版「アラビアのロレンス」や、ウォーゲーマー版(コマンド版)オキナワの人だそうなので、ヴェテランではあるのですが。

☆ロードマークスを読む

 1981年にサンリオから訳出された傑作長編。

 ゼラズニイと言うと、やっぱり早川さんで、あまりサンリオという感じではなかったですが、なぜかこれは唐突にサンリオから訳されました。

 割と判りにくい構造の作品で、特に主人公のいない場面を記述するⅡパートは、作者がわざとランダムシャッフルして時系列をズタズタにして出してくるので理解しにくい。

 さすがに編集者が一部のビニエットの入替えを指示したそうで、それが現在の形。それでも十分に判りにくいです。

 全ての時空間に繋がっている「道」という構造物を主人公が旅するロードムービーみたいなⅠパートが主線。これに、主人公を暗殺すべく「黒の十殺」を宣言し、腕利きの暗殺者を集めて順に仕掛ける主人公のかつての相棒側のもろもろを描くⅡパートが時系列ズタズタで挿入されているという。

 暗殺者はどれもキャラが立っているのですが十人全員は揃っていません。揃えて欲しかった気もしますが、キャラが弱いのが混ざるくらいならこれで良いのかも知れません。

 訳は「ブロントメク!」と同じ遠山俊征さん。

p62

「あなたが、霧のなかを歩いている。あなたが死にむかっているんで、霧が濃くなっていくわ。なのに、あなたはそれを望んでいるのよ!まえに十羽の黒い鳥があなたを追いかけているのを見たけど

 いまは九羽が

「黒の十殺だ!」レッドが、おしころした声で言った。「仕掛けたのは、だれだ?」

p71

「‥わたしは、マンダメイ。焼き物をつくっています。ちょっと失礼」

「どうぞごゆっくり」にこやかな顔で、ジャンは言った。「マンダメイ名人のお仕事ぶりを拝見できるとは、じつにたのしいことです」

p75

「時間というものが、出口や入口がたくさんあるスーパーハイウェイで、それにはいくつものメインルートや枝道があって、その地図がしじゅうかわり、ほんのひとにぎりのものにしか出入口をみつける方法がわからないってことを、おまえ知ってるか?」

p89

 つぎつぎに根こそぎにされていく雑草にあやまりながら、ティーミン・ティンは寺の庭で働いていた。小柄な男で、きれいに剃った頭が、年齢をますますわかりにくくしている。一心に鍬をふるうその動きは、鋭く、しかもしなやかだ。

p144

「や、先客がいらっしゃったとは。わたしひとりだと思っていましたよ」こう言いながら、男はレッドのテーブルに歩をはこび、手をさし出した。「ドッドといいます、マイクル・ドット

 レッドは立ち上がって、男の手を握った。

(中略)

「どういうつもりだったんだろう?」

「彼-というよりあれ、ね-あれはあなたをやっつけるつもりだったのよ。でも、あれはきっと、最初のあのときに、すっかりど肝を抜かれてしまったんだわ、あなたが自分を守るためになにか魔法を使っていると思ったのね。あれが生まれた世界には集積回路なんて言うものはなくて、ある種の魔法が使われているんだわ。あれは、あなたも魔法を使っているんだと思って、それで、それがどういうものかわからないもんで、こわがっているのよ」

p152

「ファイルなんか見たくもない。君の口から、この男について話してほしいんだ」

名前はアーチ・シェルマン-第三次世界大戦で勲章の数がいちばん多かった兵士でして、戦争の名人です。1C半ほどさかのぼったところでみつけました」

p173

「どの殺し屋のことかね?」

死を招く手と、あんたがえらく喜んでいたあの習慣をもった例の女だ。なんのことはない、蒸発したのだ。新しいボーイフレンドといっしょに姿を消したきり、もどってこない」

p175

「こんどは、どの代理人を使うつもりだ?」

「強いやつでなくてはいかんと思う。そう、マックスを使ってみるか。あの装甲車におさまったC24の人間の頭脳だ。あるいは、ティーミン・ティンでもいいな-しかしこいつは、ほかのみんなが失敗したときのために、とっておきたい気もする。そう、アーチはどうだ。うんそうだ‥」

p181

「いよう、アーチ」低い声がした。

「あんたとは、はじめてのような気がするが」

「そのとおり、会うのはこれがはじめてだ。だが、おまえの写真は見たことがある。おまえもたぶん、似たようなことで、おれの写真を見ているんじゃないかと思ってな」

 アーチは相手の顔にじっと目をやった。

「うん、見おぼえがある。名前はなんといったかな」

ティーミン・ティンだ」

 

 と言う訳で6人が登場します。他に最初に登場するマンダメイよりも前に一人失敗していることが語られますので7人の暗殺者が登場したことになります。

 世界中から集めた暗殺者集団と言うと、これを思い出します。

ヒトラー東へ転じるを入手する

 プチウォーゲームショップです。

 ATOアニュアルのテッド・レイサーのバルバロッサだそうです。
 あれ、そんなのあったっけかと疑問に思っていましたが、現物が届いて判りました。
 2010年のアニュアル、「モスクワへの4つの道」の一つなのですね。
 ちなみに、他の3つは、プラドスの「コードネームはバルバロッサ」、マイケル・リネラの「スローターハウス」、ロジャー・ノルドの「熊を打ち倒せ!」だそうです。
 テッド・レイサーのゲームは久しぶりだなと思ってBGGで彼のゲームを検索して発表降順に並べてみたら、全然、プレイした記憶がない。自分のブログを「レイサー」で検索しても全然それらしいものは見つからないので、もしかすると20年ぶりくらいかも知れません。
 まさか、英語版コマンドのヴェルダン(1918:ストーム・イン・ザ・ウェスト)以来39年ぶりではないと思うのですが、自信なくなってきました。