○グッドラック戦闘妖精雪風を読む

bqsfgame2005-06-05

1999年にハードカバー、2001年に文庫化されたものを今になって読んでいる。前作の「戦闘妖精雪風」は、掲載誌のSFマガジンでリアルタイムで読んだ懐かしいシリーズ。
600ページを越える大作だが、これもあまり重さは感じなかった。ただ、愛着のある前作と比べて、かなりカラーが変わってきており、これはこれで別の作品かなと言う気がした。
前作は、雪風と零の話しであり、敵のジャムも、守るべき地球も書割のように存在感がなかった。
ところが今回はジャムは雪風と零に執拗に関心を抱いて接触してきており、地球も様々な思惑の集合体として物語に暗躍するようになっている。ジャムという理解しがたい敵とのコミニュケーションは、後書きにもあるようにレムの三部作を連想させる。様々な思惑の集合体である地球を背負って戦う様は、新世紀エヴァンゲリオンを連想させる。
前作がドライで無機的な物語だったとすると、今回はかなり蟲惑的な物語になっている。そこのところで好みが分かれると思うのだが、作品の総合評価はともかくとして、好みとしてはドライで書割の前で単発のエピソードが流れていく前作の雰囲気が好きだった。