一週遅れで読みました。
これでも個人的には頑張った方だと思っています。が、6月刊行ですから、タイムリーに読んだとは言えんでしょう。
前作を上回る圧倒的な破壊力です。
スゴイ!
これを読まずして、中国SFも、現代宇宙SFも語れない存在であることは間違いありません。
本作を読むと「『三体』はプロローグでしかなかった」という惹句は、決して大袈裟ではないと思います。
先進宇宙文明、三体とのファーストコンタクトは、三体文明による侵攻作戦によって開始されます。しかし、実際に三体が到着するまでに四百年あまりがあります。その間に戦う術を考えるのですが、三体が送り込んだ智子(ソフォン)のせいで、地球上で何を議論しても行動しても全部が三体に筒抜けです。
そこで、議論も計画書もなしで自分の頭の中だけで対抗計画を描きだして遂行できる叡智を面壁者として任命し地球リソースのほとんどを運用できる超法規的権限を与えます。
この四人の面壁者が、どのような作戦を立て、それを三体側がいかに粉砕するかと言うのが物語の過半を占めます。
そして、本部の最後には一人だけ残った面壁者が、ついに三体の侵略を食い止めるに至ったように見えます(第三部があるので、またどんでん返しがあるかも知れませんが)。
解説にある通り、本作は、フェルミのパラドックスに対する回答を真正面から議論しているものでもあります。その答えは、実は前作「三体」に提示されていたことも明らかになります。いや、そこまで予想しきれた人はなかなかいないのではないかと思います。
あと本作の中盤で、面壁者の一人が、彼のウサマ・ビン・ラディーンに会いに行きます。その時の手土産が、彼のアシモフ大先生のファウンデーションシリーズの続刊(つまり「ファウンデーションの彼方」以降)のアラビア語訳だったりします。
これも意味深でもあり、また作者の黄金時代宇宙SFへのリスペクトでもあると受け止められます。
第二部で此処までやってしまったら、第三部ではいったい何をどうするのだろうかと思わされます。もちろん訳出されれば、ハードカバーで買って読むことでしょう。
ただ、これを越えるのはさすがに難しいのではないかと思ってしまいます。そのくらい本作はスゴいです。
出てくる登場人物の中では、東方延緒がちょっと好きです。
実写映画化されるとしたら誰が良いでしょう?
リンチーリン?
キムテヒ?
北川景子?
うーん、葉文潔を北川景子、娘の揚冬をキムテヒ、荘顔をリンチーリン、東方延緒を長澤まさみでどうでしょう。史上最強のキャスティングではないかと思いますが。
まぁ、妄想です。