×砂のなかの扉を読む

bqsfgame2006-09-11

ゼラズニイ自身が好きな作品と言う短めの長編。
治療法待ちの冷凍睡眠に入っている叔父さんの基金で学位を取るまでの学費と生活費を保証されているキャシディは、制度を悪用して専攻をどんどん替えて学位を取らないように万年大学生をしている。そのため広い知識を持ち、悪知恵も回る彼は、どうしたものか異星文明の地球に対する陰謀に巻き込まれてしまった。
とまぁそんな感じで、往年の日本のジュブナイルに良くあった学園生活の異常が大変な陰謀に‥というパターンのアメリカン大学生バージョンと言ったところか。作者が好きで世評もそれなり、読んでいても読みやすくサクサク読み終わった。ただ、残念ながらどこが面白いのかとうというピンと来なかった。これはもう波長が合わないとしか言いようがない。
眉村卓ジュブナイルなどの場合だと、日本の学園生活にノスタルジーを感じるし、主人公にも共感できるが、この作品はそうしたところはさっぱり。スラップスティックな展開は映画「メンインブラック」あたりを髣髴とさせるが、なんとなく乗りきれないまま終わってしまった。
ゼラズニイ作品では、「わが名はコンラッド」、「燃え尽きた橋」、「外道の市」に続くガッカリ作品となってしまった‥(;_;)