アンティータム戦をどう評価するか?

bqsfgame2006-09-25

「アンティータム」が付録となった日本語版コマンド59号には、サザードの「アンティータムの戦い−絶好の勝機、長蛇を逸す」が訳載されている。素晴らしい。
この記事を読むと、北軍も南軍もこの戦いを自軍の優勢と評価する側面を見出していることが冒頭に書かれている。当事者同士がこういう見解なのだから南北戦争に関する史料が手に入りにくいこちらで判断が難しいのは無理もない‥(^_^;
個人的には南北戦争は好きな題材だが、アメリカのウォーゲーマーに比べれば全然知識量は及ばないだろう。ただ、それでも個人的な意見を一回、自分自身の整理のためにまとめておくと‥。
①南軍にとって1862年の戦略目標は、北軍に大きな痛手を与えることで海外から南部独立の認知を得ることだったと考えられる
②そのためにボビー・リーは敢えて大軍を率いて北部深くへ進入したのであり、その目的はアンティータム戦で後退したことにより果たすことができなかったと結論できる
北軍にとって1862年の戦略目標は、ボビー・リー、ストーンウォール・ジャクソンを擁する難敵・南軍北ヴァージニア軍に対して一矢報いて勝利し、奴隷解放予備宣言を出して本内戦への諸外国の介入を阻止することであったと考えられる。
④その意味ではアンティータム戦は、戦術的な与条件から見れば北軍にとっては逸機と称されて仕方がない内容ながらも、南北戦争の戦略的な意義としては北軍が最低限の目的を達した戦いと見られる。
⑤逆に言えば戦術的にはかなりの成果を挙げたと言えるにも関わらず南軍が戦略的には最低限の目的すら達せられなかったのだとすれば、ボビー・リーの賭けは最初からほとんど勝算がなかったものと言わざるを得ないのではないか?