大戦略・南北戦争を再評価する

20年ぶりくらいに対戦したのではないかと思いますが、今プレイしても古いと言う印象はありません。
昨日も書きましたが、本ゲームは今でも南北戦争戦略級の金字塔としてプレイする意義のある傑作だと思います。個人的な好みの問題としては、ルールが多い割に意外と変なことが起こる「フォーザピープル」より良いゲームだと思います。
良い点としては、
●いわゆる陰謀ルールがないにも関わらず、全体の展開がもっともらしくなる
これは、非常に不思議な点です。質に勝る南軍が特に東部で序盤のイニシアティブを取れます。しかし、増援の人的資源の差から徐々に追い込まれていくのが運命づけられており、特別な陰謀ルールなしに自然に南北戦争のイニシアティブの転換が再現されています。
●いわゆる陰謀ルールがないにも関わらず、北軍の人事諸問題がもっともらしくなる
これは、プレイしないと判りにくいのですが、意外に良く出来ています。本ゲームには陰謀ルールがなく、「プライスオブフリーダム」のようにグラントを軍司令官にするには彼の指揮で2勝しなければならず、西部で昇進してからでないと東部に異動できないと言うような制限がある訳ではありません。ところが、にも関わらず同じようなことが再現されます。最初から誰でも解任できるし、昇進するには戦闘に参加して生き残りさえすれば良く、異動も自由です。それなのに、意外なほどちゃんとヒストリカルになります。東部戦線は最初はにらみ合いが続くだけなのでマクレランでも用が足ります。ですから、グラントは最初は西部で戦果を上げます。で、部下のシャーマンが後継候補になった所でグラントを東部に異動し、シャーマンが内部昇格して後継者になると言う‥、これはまったく史実通りで特別な制限を課さずに自然にこうなるのには驚かされます。
南北戦争はリーの北部侵攻のギャンブル失敗で結論が出た訳ではない
これは他の南北戦争ゲーム、特に「ハウスディヴァイデッド」に見られる問題です。リーの北部侵攻が失敗に終わると、後は南部が崩壊していく過程を追うだけの長い作業をさせられるゲームになりやすいと言う点です。本ゲームは、リーの北部侵攻が失敗に終わっても、西部戦線におけるミシシッピ川での南部分断や、シャーマンの海への進撃が決して楽ではありません。最大の敵は時間で、南軍が抵抗力を失っていっても、最後まで(勝利条件的には)勝利の機会があります。コマンドポイントの問題や、拠点で要塞構築して粘る南軍の強固さもあって、最後まで関心が失われないと思います。その意味では、1863年スタートで、後半だけプレイしてみても良いのかなと思います。1864年以後は個人的にはプレイしたことがないのですが、決して北軍にとって容易だとは思えません。一度、機会があったら、後半をやってみたいものです。
■なんと言っても時間は掛かり過ぎる
繰り返しになりますが時間は掛かり過ぎます。10時スタート、19時終りで1年分しかできないのですから、本当に海への進撃の結論まで見ようと思ったら、一泊二日でも危ないかも知れません。序盤から終盤までずっと面白いゲームだと思うので、一度、本当に通してやってみたいのですが、死ぬまでにできるかどうか怪しいものです‥(^_^;
そうすると、一日で終りまでできる南北戦争戦略級の需要と言うのが出てくるのですが、そこは全然違う議論になりましょう。
こちらでは、同人GJの「ヤンキーサンダー」をやって、「プライスオブフリーダム」と比較すれば良いのかなと思っています。近い将来に「ヤンキーサンダー」をプレイしたいと思っています‥(^o^)
ゲームエンジンは機能していない?
このゲームでは、両者が2ダイスを振りますが、その目が同点だった時にターン終了判定するようになっています。
ところが、実は意外なほど出ない。今回5ターン分プレイして、一度しか出ませんでした。一度目は終了しない規定なので、この判定でターン終了することはありませんでした。
その意味ではエンジンは機能不全です。
ちなみに、ちゃんと確率計算すると2ダイスで同じ目が出るのは、11%です。ですから、9回に1回くらいしかないのですね。で、最初の同じ目では終了しないので、10回以上のアクションインパルスがあることが期待でき、結果として増援を出し尽くすと終了と言う規定が先に発動するのは妥当なのでした。ですので、意味としては同じ目が出ると、コマンドテーブル使用回数が増えて南軍に1VPが加算されると言うことしかありません。それはそれで、意味がなくはないと言えますが‥(^_^;