○スターシップを読む

bqsfgame2006-10-12

間に大作だけでも4つも入ってしまって間延びしたがようやく和製アンソロジー二分冊の後編を読み終えた。
「地球の緑の丘」と「夜来る」は、実はこれが初読。ハインラインは嫌いなので無理はないのだが、アシモフの名高いこの作品と今まで縁がなかったのは不思議。いずれにせよ、正直に言うとどちらも今読むとそれほど感心はしなかった‥(^_^;
ファーマーの「宇宙の影」、マルツバーグの「ローマという名の小宇宙」、ブラッドベリの「すべての夏をこの一日に」、スティーブンキングの「帰ってきた男」なども正直に言って読みにくかったりさっぱりピンと来なかったりだった。全体として前編よりも低調な印象を受けた。
「クリプティック」と「夜のオデッセイ」が収穫。どちらも聞かない作者の作品だが、こういうものと出会えるのがアンソロジーの良いところだろう。巻末の「ブルーシャンペン」は、比較的最近に短編集で読んだもので、インパクトのある作品だったのでストーリーを良く覚えていたが、それでも読むと楽しかった。ヴァーリィはSF的な世界のSF面を強調せずに、まるでそれが日常である状態を描くのが上手いと思うが本作は正にSFな未来のハーレクィンロマンスと言ったところかと思う。「逆行の夏」もそうだが、人間のエグい部分をグロくなく抉り出しているようなところもある。それでいてイメージは綺麗で、リリカルな要素もある。多面的で高い技術の作家だと思う。