○危険なビジョン完全版1を読む

なぜ、今になって出版されたのかで論議を呼んでいる伝説のアンソロジー

原書はすでに半世紀前。日本語訳で三分冊の一冊目だけ出て頓挫したのが36年前。

今になって何故?

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近年、エリスンの本が続けて数冊発売され、それらの売れ行きが良かったからだろうというのが、極めてビジネス的な理由であるのは想像に難くない。

一方で、早川書房が、日本のSF出版社の雄としての自覚を持つのなら(どうも近年そうは思えない)、SF史的な意義も考えてみて欲しかった。

内容的には、当時時点での危険なビジョンなので、今となっては色褪せている側面もある。一方で、今もなお鮮烈なものもある。

個人的には巻末のオールディスが一番よかったが、これは危険なビジョンというテーマには、あまり沿っていないだろうか。タイムガスという時間遡航作用を持つものが地中に埋まっていて、それを配管で供給するという奇想もの。

興味深かったのは、アシモフのまえがきと、エリスンの序文での応酬。また、エリスンとブロックの連歌的作品。まぁ、エリスンが編者として過剰に暴れている様子が伺えて、やっぱりエリスンエリスンだなぁと感じさせてくれる。

ノスタルジーも加味して○にしたが、再読することはないかも知れない。

旬な内に2巻を読む予定。