バイオマス誤解と希望を読む

bqsfgame2006-11-01

最近、バイオマス由来プラスチックまわりを調べているのだがその一冊。
バイオマス由来ということが意味する大きな要素として、再生可能な持続型資源であるということと、カーボンニュートラルであることの二つがあると思う。
一方で、バイオマス由来プラスチックの代表であるポリ乳酸が同時に生分解性を持っていることから、生分解と混同して理解している人が非常に多いと思う。
結果として地球に優しいとかエコとか言う話しと、どの要素がきちんと結びついてるのか雑駁な理解、もしくは誤解をしている人が多いと思う。
その一方で、正しく概念は理解していても定量的に本当にどのくらい地球に優しいのかはきちんと把握できないという問題を感じている人も多い気がする。
この本のスタンスは概念を正しく理解した上で、浅く考えて地球に良さそうで納得するのでなく、もう一歩深く考えて「本当に地球に優しいのか?」と問いかける視点を啓蒙しようと言うもののようだ。
その意味ではそれなりに書けているとは思う。
しかし、その警鐘の多くは依然として定性的であり、定量的に何が正しいのかを判定することなく語っているだけに留まっているのは、スタンスが逆でありこそすれ浅いところで「地球に良さそう」と宣伝しているサイドと、エンジニアとしての責任ある発言としては雰囲気論に終始していると言う点で大差ないように思われる。もっときちんとしたデータが載っている物を期待していたので、大いに不満が残った。