ショートゲームレビュー:フローティラ

bqsfgame2007-06-04

著作権表示を見ると2004年の作品。
現在はエレクトリックアドベンチャーのダウンロードページからPDFファイルとしてダウンロードできるようになっている。表紙を見ると、マイクロタクティックス社のプレインレイベルゲームシステムのコンパチブルとなっている。
ゲーム内容は宇宙艦隊戦。ゲームボードの取り扱いは二次元。
このゲームのもっとも大きな特徴は「艦隊運動」、「艦隊対艦隊戦闘」という視点で一貫してデザインしてあることだろう。実のところ、個々のゲームシステムとしては、どこかで見たようなところがあり、どこかが特別斬新という訳ではない。しかし、個体艦のディティールに労力や時間を取られずに艦隊規模での運動や戦闘に専念させて、プレイアブルに大艦数を扱ってゲームができるのが特徴的だろう。
移動システムは、アナログ式だが、基本的には前ターンの移動ベクトルに、駆動加速ベクトルを加え、それに重力場の影響を加える。この移動結果を新たな移動ベクトルとして次ターンの基準とするというもの。要はヘクスで「トリプラネタリー」がやっていたことのアナログ版であり、宇宙空間戦闘のスタンダードと言って良いかと思う。
艦隊は全体として移動し、駆動加速が最低の艦を基準艦として移動し、その周囲に艦隊としての一体性を保って全体が移動するようになっている。艦の分離や、艦隊同士の合流なども考慮しておらずすっきりしたものである。
戦闘は、艦隊から艦隊に射撃し、その結果を艦隊に対して適用する。要はウォハンマー40kの第3版ルールなどにも見られるルールである。基本的にミニチュアゲームでの最近のトレンドのシステムと言って良いと思う。
二つの軍が登場するのだが、一方は長距離での魚雷戦闘に強みを持ち、他方は短距離でのレーザー戦闘に強みを持つ。と聞くと、なんとなく「インペリウム」を思い出す。
ルールの分量は少ないのだが、読んだ感想としては整然としているとは少々言いがたい。デザイン意図では発射された魚雷を迎撃できるらしいのだが、シークエンスがそういう風になっていないように見える。本当は、移動、魚雷発射、レーザー戦闘、魚雷移動という風にしなければならないと思うのだが、先手と後手の攻撃が分かれておりその中で魚雷とレーザーを同時にやるので、後手の魚雷を先手は迎撃することがこのままだとできない。
他にも多少曖昧だったり一読して理解しにくかったりするので、この辺りはヘクスゲームに比べるとルールのクリアネスが足りないと思う。
しかし、思想がしっかりとあり、それが一貫して適用されているので印象は良い。
率直な感想はまた明日。