MBAファイナンスを踏まえて18xx再考:配当政策

MBAファイナンスを読んでファイナンスについて初めて体系的に知識を得ることができたので、これを踏まえて投資家ゲームである18xxシリーズについて考えてみたい。
先ず最初は配当政策。
日本では、経営者側も株主側も、高配当=株主に報いること‥という考え方の人が多いのではないかと思う。しかしながら、ファイナンス理論では配当は株主価値を会社に置いておくか、投資家に移動するかの問題でしかなく中立的であるということになっている。配当を出すことで会社の現金資産が減れば、その分だけ会社価値が下がり、株式の理論価値が下がるので、配当で現金を得た分と相殺されてしまう。いや、そもそも移動しただけだということである。
実際、マイクロソフトのように、成長投資案件が豊富にある会社では、配当にして現金で株主に還元するより、成長投資案件に使用してもっと高率のリターンを株主にもたらす方が正しいという考え方で無配当・高成長を志向する企業もある。そして、株主もそれを支持しているように思われる。
そう考えていくと、1830の、配当→株価アップ、無配当→株価ダウンと言うのは、現在のファイナンスの基準や実際の配当政策の株価への影響の出方から見ると、既にアウトオブデイトのスキームということがわかってくる。
実際、会社がもっと高操業利益を上げるための車両投資をするプランのために無配当・内部留保したからと言って、それが将来的なリターンを生む魅力的なプランであると合理的に説明し切れるにも関わらず、無配当だと事情を問わずに株価が下がる1830のシステムは理不尽だと言っても良いかも知れない。また、前にも書いたが、配当をすると、その配当金額に関わらず株価が常にワンゾーンアップというのもいただけない。
18FLや1846のように、配当金額に応じて、その水準があまりに低ければ株価ステイ、十分に魅力的なら2ゾーン以上アップするというメカニクスはあってしかるべきである。
さらに言えば、新時代の18として、近い将来、配当したかしないかではなく、操業収益の額で判定して株価を判定するような18が出てきても良いのではないかと思う。キャッシュを稼ぐ実力に対して株価が反応するという仕組である。得られた操業収益を、次の投資に振り向けるのか、株主に配当還元するのかは、魅力的な投資があるかないかで決めれば良く、いずれにしても企業価値が上昇したことに変わりはないのだから、利益処分の方法に関わらず株価を反映させるということである。
近い将来、そういう18xxシリーズが出てくるのではなかろうか。
少なくともマルチゾーンアップがある18xxでは、内部留保で一時的に下がった株価のリカバリーが効くので、プレイ結果としては内部留保して設備投資して収益アップさせると、最終的な株価がきちんと相応に上がるチャンスが得られている。その意味で、最近の自分の感覚として、少なくともこのマルチゾーンアップシステムが採用されていない18シリーズは、正直に言って食指が伸びなくなってきている。