MBAファイナンスを踏まえて18xx再考:資金調達

昨日の配当政策に続いて、今日は資金調達について考えてみたい。
18シリーズは、株式投資ゲームであり、プレイヤーは資本家の論理でプレイしている。
しかし、今回は会社の視点で資金調達について考えてみたい。
資本コストの考え方をきちんと詰めて行くと、日本企業の従来の感覚とは異なり、実は株主資本のコストは負債のコストよりも高い。これは最近は日本の企業でも、村上ファンドや海外機関投資家などの影響で意識されるようになってきたと思う。
株主は、株価上昇と配当の和で評価しているが、それにより期待しているリターンはリスクを背負っている分だけハイリターンであり、負債の金利より高いものを返さなくてはならない。ただ、日本企業では配当だけがコストだという意識でやってきたので、その意識が欠如している。
さて、1830ではどうかと言うと、会社にとって資金調達の方法が実は株主資本による調達しか認められていない‥(^_^; 率直に言って、この段階で既に1830は、既に投資/会社運営の二重構造のシミュレーションゲームとして現代基準に達しておらず陳腐化している‥と言っても良いのかも知れない。
18GLを論評した時に指摘したとおり、18GLは現時点では18シリーズ中でも進んだシステムを持っており、借金による資金調達が可能になっている。この点だけでも18GLはシリーズの最優等生として評価されても良いかも知れない。
この時に18シリーズでは社長は実は最大株主であるので、会社からキャッシュを自分の懐に移そうとしている立場のため、負債に対する金利を非常にネガティブな目で見る。自分が金を稼ぐための道具である会社で稼ぎ出した金の一部が銀行へ流出する訳だから。
ところが、そういう株主資本家の立場を切り放して、純粋に会社の雇われ経営者だったらどう見えるか冷静に考えてみる必要がある。18シリーズでは車両投資などが必要でなければ、株主は全配当を要求する。会社が苦労して稼いだ金を一銭残らず吐き出せというのが株主の要求なのである。これは非常にふざけた話しで、借りた額の10%だけ払ってくれれば良いよという銀行よりも株主はずっと強欲なのである。言い換えれば18GLにおいては、会社視点で見たときに負債の方が株主資本より資金調達コストが低くちゃんとなっているのである。この点でファイナンスメカニクスをきちんと18GLは再現しており、ゲームシステムとして非常に評価できると思う。
18GLのように負債による一時的な低コストの資金調達が可能なシステムが、今後の18シリーズでは主流になっていくのだろうか? これは18シリーズのデザイナーたちが、どのくらい近年のファイナンスの理論やメカニクスを勉強してゲームデザインに取り入れているかによると思う。
こう言っては失礼だが、配当すると額によらず自動的に1ゾーン株価アップ、負債による資金調達不可という伝統的な1830のシステムは、そろそろアウトオブデイトなので仕舞ってしまって良いのではないかという気もする。