マクロ経済を読むトレーニング:11日の日経を読んで

日記とリアルタイムがズレたまま進行しているが、11日の日曜日の日経新聞は面白かった。
まず、サブプライム損失拡大の記事に添付された米欧アジア株式相場の1週間の下落幅の棒グラフ。アメリカ市場の暴落の印象が強いが実はパーセンテージグラフでちゃんと見てみると、日本と香港が5%以上の暴落で一番悪く、NYは4%程度。印象とデータとの間にズレがあった人も多いのでは?
また、従来の常識がまったく通用しなくなっていることも改めて痛感する。日本の企業の上期収益は10%程度伸びていたという記事が出る一方で、日経平均は5%以上暴落していることになる。日経平均が5%も暴落しているのに円は対ドルはともかくとして対ユーロでも直近では値上がりしている。
企業業績アップ→株価アップという公式は成り立たず、国の代表的な株式指標の低下→国の通貨の威信低下による下げという公式も成り立たない。昔の常識は、今の非常識ということを痛感する。一方で、日本のテレビメディアに出てくる経済コメンテーターの中には、昔の常識に基づくコメント、国内だけしか考えていないコメント、あるいは対アメリカまでしか考えていないコメントが今でも散見されるように思う。識者などと言われて持ち上げられる立場になるほどに、パラダイムシフトしがたいのだろうか?
そんな中では評判の高かったグリーンスパンさんの後を受けて不安視されて登場したバーナンキさんが、事態に対して率直な反応を示しているのは個人的には好感が持てる。悪戯に楽観論を振り回して事態を沈静化させようとせず、事態をきちんと認識したところから出発しようとしているように思う。ただ、以前にも書いたが当局のできることが昔に比べて影響力が下がっていると思うので、それでも事態にどこまで対処できるかは予断を許さないとは思う。それでも少なくともライオンが来た時に砂に頭を突っ込むダチョウのような人がアメリカの重要ポストにいるわけでないことはとても良いことだと思う。
もう一つは香港株の動向についての記事。8月の世界的な株価下落局面からいちはやく香港が立ち直りアジア新興国を先導したのは記憶に新しいが、今回は香港が先導して下げる局面になっている。なぜなのか不勉強で理解していなかったが、中国本土の直行便政策に対する期待と、その失望が要因になっているという解説が出てナルホドと思った。株式の日々の動きはランダムウォーカーだが、数ヶ月単位のトレンドは、ちゃんと情勢との因果関係があるのだなと思う。