アップフロント:スターリングラードシナリオをソロプレイ

bqsfgame2008-02-16

BGGから落としてきたGeneral誌の追加シナリオ。
基本的には市街戦の重厚バージョンと言った感じ。特徴的なところは以下の諸点だろうか。
1:ビルディングカードを別デックとして用意し、移動したグループの1アクションとしてこのデックからビルディングを引いて配置できる。つまり、相手に地形を配置されない限りはビルディングに入れることが約束されており、そのために地形カードを事前に確保する必要がない。
2:上記のビルディング以外の多くの地形カードは非機能カードであり、実質的に相手に配置できる地形カードは両軍で機能する地雷原カード(本シナリオではブービートラップカード)だけである。これにお馴染みの鉄条網が加わる。
3:丘カードはビルディングから横移動してビルディングカードと組合せて使うことで「建物の二階」に上がったことを表すために用いることができる。
4:Gullyカードは「地下道」を表すカードとして使うことができる。地下道であるので通常と異なり相対距離5の正面のグループ以外からの攻撃は一切受けない。
と言ったところだろうか。
なんと言っても強烈なのは1と2の複合効果だ。
先ず1が凄い。事前に地形を準備しなくとも最良のビルディングに入れることがほぼ約束されているので全然通常のアップフロントと地形カードの価値観が違う。そして、地形カードの多くが非機能カードなので、非機能カードの枚数が非常に多い。このことは、通常のルールでは事前に地形を準備することが困難なハンドサイズの小さいソビエト軍には有利に働く。逆に非機能カードを捨てる能力に乏しいドイツ軍には不利に働く。
次に2が凄い。両軍で地雷原が機能するというシナリオは個人的には他で経験したことがないのだが、威力抜群である。しかも、普通ならビルディングに入れることが確約されているだけに地雷原をプレイされることの痛手がますます大きくなっている。どんなにカウンティングが嫌いなプレイヤーでも、このシナリオにおいて地雷原カードの2枚の所在を意識せずにプレイすることは自殺行為に等しいだろう。
通常の「市街戦」と違ってビルディングカードは独立したデックで回すので、最終デックに向けてビルディングカードの枚数を心配するような必要はない。8枚あるので、両軍が4グループずつというあり得ないような編成を取らない限りは枯渇することもないし、その場合でも移動して出れば浮くのでそれを配置できるという解釈で良いのではないかと思う。このビルディングカードに不自由しないというところが、通常の「市街戦」と決定的に違うので、プレイ上の作戦指針もかなり違ってしまう。ブービートラップに細心の注意を払いながら何処までも続く市街ブロックを前進し、勝利得点をカウントして少しで良いからリードし、相手に前進というリスクを課して射撃準備をして待つのだ。
スターリングラード戦の雰囲気は良く出ていると思うが、選択肢や展開のバリエーションという意味では通常の「市街戦」より狭まっている印象を受ける。リプレイアビリティという点では劣るように思うので、話しの種に遊ぶという理解だろうか。しかし、建物の二階や地下道移動を表現する特別ルールのセンスなどは良く、ブービートラップに痺れるプレイ感も独特で一見の価値はあると思う。
それにしても「アップフロント」のシステムで表現できることの可能性はまだまだあるのだと感じさせられる。