1988年にTSR社から発売されたロングのフラットボックスゲーム。
トム・クランシーのベストセラー「レッドオクトーバーを追え!」のタイトルだが、その内容に当るソビエト最新鋭原潜の亡命騒動は入門シナリオの一つにあるだけで、全体としてはWW3の北海でのNATO対ソビエト艦隊の対決をマルチシナリオで描き出すゲームだった。その意味では、フリートシリーズの第二作「セカンドフリート」と同じテーマと言って良いかもしれない。
ゲームボードは戦場となる北海を不定多角形のエリアで区切ったもの。ユニットはスタンドに立てて使用し、自分の側には艦名やパラメータが見えるように相手の側には情報がない面が見えるように使用する。これによって具体的な艦の内容は秘匿されるのだが、艦の存在や位置は判明している。フリートシリーズでも、特にダミーやダブルブラインドは用いておらず、現代海戦では衛星や偵察機により敵艦の所在は粗方は分かっているという前提が共有されているようだ。
しかし、所在は分かっていても攻撃を掛けるためには探知手順を経なければならず、本作では探知マーカーを配置してチェックすることで探知を行う。この辺りもフリートシリーズと共通の現代戦事情の認識があるようだ。もともとフリートシリーズのVG社と、TSRのウォーゲームスタッフは、同根でSPIから発しているので、かなり資料や現代戦事情の理解が共通なのかも知れない。
本作はフリートシリーズに比べると、ずっと簡単なゲームだと言って良いかと思うが、そういう意味でプレイテイストがかなり近い気がする。
シナリオ3と4をプレイしただけなのだが、その範囲においては、シナリオがゲームプレイ的には面白くないという難点があり、それほど高い評価はしがたい。ちなみにシナリオは全部で8本あり、3と4以外については、
シナリオ1:極北の戦い
小規模の潜水艦と対潜哨戒機のみを用いる練習シナリオ。
シナリオ2:レッドオクトーバーを追え!
小説を題材にした最新鋭潜水艦を巡る練習シナリオ。
シナリオ5:英国海軍
アメリカ軍がなんらかの理由で手一杯で英国海軍のみでソビエトと対峙するシナリオ。
シナリオ6:ゴーントレット
ソビエト側の地中海艦隊を北方艦隊に合流させるための突破作戦を描くシナリオ。
シナリオ7:上陸作戦
WW3のファーストコンタクトが終了後、依然として海軍優位を持つソビエトがセカンドオペレーションで上陸作戦を敢行するというシナリオ。
シナリオ8:WW3
WW3のファーストコンタクトから、両軍とも増援を得てのセカンドオペレーションまで全体を描く最大のシナリオ。
[つづく]