レッドオクトーバーを追えからのこぼれ話し

アメリカ側のSOSUS(ソナー監視システム)について、探知機は結局のところ海嶺や浅海に設置されており、NATOの戦略はこの事実から来る技術的限界に縛られている‥という話しが出てきた。
結果として、NATOグリーンランドアイスランド/イギリスのラインに並ぶSOSUSの長城でソビエト潜水艦の侵出を検知し、早期に対潜哨戒機や攻撃潜水艦で対応するという戦略を取っているというのだ。
この辺りのところは、TSRのゲーム「レッドオクトーバーを追え」でも、選択ルールで海域の深度を導入すると一定程度再現されてくるのではなかろうか。この辺り、小説もゲームも軍事技術について良く調べて作られているようで好感が持てる。
閑話休題。小説の上巻の終わりの方に、モスクワの地下鉄は1930年代に建設された時点で、防空壕として使用することを想定して出来るだけ深くを走らせるよう若き日のフルシチョフが進言したというエピソードが出てくる。小説全体の作りからして事実なのかと思うが、それにしても1930年代時点で深深度防空壕を進言したとはビックリだ。核戦争を具体的に予見していたとは思いがたいが、当時の時点での兵器よりずっと強力な兵器で都市を直接攻撃するようなドクトリンが出現し得るというくらいの想像があったのかも知れない。個人的には、フルシチョフという人物を再評価させられるエピソードだった。